――三衣ちゃんがいなくなった。

「お願い、三衣を探して」
「いつからいなくなったの?」

動揺している二衣さんの傍に寄り添いながら瀬戸さんが尋ねる。

「昨日の夜、部屋で別れるまでは一緒で……朝になっても、部屋にいったらいないの!」
「子供だ。この屋敷の中で迷子なのではないかな?」

二衣さんへ田宮さんが言う。
彼は大袈裟に騒ぐことはないだろう?という態度をとっていた。
しかし、その態度をとっていたのは彼だけだ。

「志我二衣さん、三衣さんは何か変なことを言っていなかったかしら?」

離れた所にいる宮古島さんが僕達の方へやってくる。

「いいえ、いつも通りだった」
「宮古島さん?」

考えている様子の彼女が気になって僕は尋ねる。

「この後、屋敷の一室を借りて降霊術をしようと思うの、貴方達も参加してくれないかしら」
「降霊術?」
「幽霊を呼び寄せる術の事だよ」

首を傾げる瀬戸さんに僕は簡潔に説明した。

「でも、どうして、降霊術を?」
「昨日、田宮さんの所の男の人、今日は三衣さん、連続して人がいなくなるのはただ事ではないわ……降霊術で試してみるの」
「試す?」
「いなくなった人達が生きているかどうか、この後の降霊術でわかるわ」

宮古島さんの言葉に僕は寒気を感じた。







一時間後、僕達は一室へ集まった。
志我家の一衣さんは体調が悪く、八島さんが付き添いの為、欠席。
この場にいるのは僕、瀬戸さん、宮古島さん、助手の坂下さん、そして田宮さんだった。

「大袈裟すぎますよ。こんな事せずとも、いずれ現れるでしょう?」
「現れない可能性もあります。それをはっきりさせる為に降霊術を行うのです。坂下さん。よろしいですね?」