けれど、新城は祓う関係の仕事に彼女を連れて行くことをしなかった。
後になって怪異解決に動いていることを知ると朝の教室で怒る瀬戸さんと寝袋事揺らされる新城の姿が日常になりつつあった。
止めようとして顎に良い一発をもらってしまったので今は落ち着くまで静観していたけれど、今回はちゃんと理由があるので止めに入る。

「瀬戸さん、落ち着いて、今回の依頼は女性がついてきたら問題があったんだよ」
「問題ぃ?」
「そ、そう」

ギロリと睨まれて僕は後ろへ下がりそうになる。

「こ、今回の怪異は女性を標的にしていて、厄介な能力も持っていたんだよ。その、瀬戸さんをもし連れて行けば身の危険に繋がって――」
「そういう怪異じゃなくても連れていくつもりはない」

助けようとした僕のフォローを新城は台無しにしてくれた。

「この野郎ぉぉぉぉぉぉぉおおおお!」

激怒した瀬戸さんに寝袋をこれでもかと振り回されている中で新城は眠りについていた。
バカなのかタフなのか、なんともいえない光景だった。








放課後、怒って鞄を手に帰る瀬戸さんを見送りながら僕と新城は帰り道を歩いていた。

「あんな言い方、ないんじゃない?」
「あ?」
「瀬戸さんの事だよ。いつも突き放すような物言いで、向こうも納得するように説明をしてあげたらいいんじゃない?」
「面倒だ」

冷たい新城の物言い。
元から他人を突き放すような言動が多いけれど、瀬戸さんが怪異に絡むことになるといつも以上に冷たいように感じる。

「前に話していた事が原因?」
「…………どこで誰が聞いているかわからない、不用意に切り出すな」
「ごめん」

鋭い目で睨まれて僕は謝罪する。

「話した所で変にスイッチが入っているアイツに伝えた所で余計に術を教えろ、力の使い方とか、色々と騒がれかねない。そんなことになるくらいなら黙っていた方が」

ふらりと急に新城がバランスを崩した。
僕は慌てて新城を抱きとめる。
身長の低い彼をあすなろ抱きする形で受け止めながら僕は覗き込む。