「二衣は可愛い女の子が好き、でも、三衣と同じで家族以外と接した事がないから」
「接し方がわからずセクハラしているって事?」
「それはそれで、可愛そうね」
「じゃあ、許す?」

僕の質問に瀬戸さんは微笑んだ。

「許さない」

事情があろうと怒りは収まらないみたい。

「ところで、今日はどうするの?」
「どうするって?」

瀬戸さんが僕に尋ねてくる。

「館の秘密というか不思議について、依頼なんでしょ?助けてあげようよ」
「……困っているなら、ね」

僕の言葉に瀬戸さんは戸惑う。

「どういうこと?」
「依頼だからってその人が困っているかどうかはわからないって事だよ」
「そんな根拠ないじゃない」
「勿論、けど、困っていないっていう根拠もないよね?」
「……いじわるだ」

顔を顰める瀬戸さん、確かにいじわるな質問だ。

「いじわるだね。でも、そういう考えも必要なんだ。怪異が絡んでいるなら余計に」
「雲川は此処の秘密が怪異絡みだと思う?」

彼女の問いかけに僕は首を振る。

「わからない。そういうのは新城が詳しい」
「凍真かぁ。こういう時にアイツ、どこいったのか」

新城凍真の行方を僕達は知らない。

「一応、新城にメールはしているけれど、返事はないね」
「アイツ、連絡のつかない山奥にでも籠っているんじゃひぃぃぃ!?」

話の途中で悲鳴を上げる瀬戸さん。
彼女の背後に立っている……多分、二衣さん。

「うーん、癖になる感触」
「やめろぉぉぉ!」

捕まえようと振り返る瀬戸さん。
脱兎のごとく逃げる二衣さんだった。

「毎日のように追いかけっこが続くのかな?」
「二衣は仲良くなる方法を知らないから、そうなると思う」

うんうんと頷く三衣ちゃん。
彼女も人付き合いが凄い苦手なのはわかっている。