「あら、おはよう」
「おはようございます」

激戦の末、三衣ちゃん呼びで話は落ち着いて、僕達は食堂へ来ていた。
食堂へ向かうと宮古島裕子さんと助手の坂下さんがいる。

「昨日はちゃんと挨拶できなかったわね。神浄大学で心理学を教えている宮古島裕子よ。彼女は助手の坂下はるひちゃん」
「坂下です、よろしく」
「雲川丈二です。お二人は新城と面識があるんですか?」
「そうねぇ、大学では心理学を教えているけれど、その傍らで怪異関係の事について少し関わっていてねぇ、その縁で凍真ちゃんと知り合ったの、凍真ちゃんに神浄大学へ来ないかって誘っているけれど、今のところ、良い返事はもらえていないのよ」
「大学へ?でも、新城はまだ高校生で」
「そうねぇ、でも、優秀な人材というの?そういう子ってとても貴重だから」
「はぁ」

ニコニコと微笑みながらお茶を飲む宮古島さん。

「ところで、貴方はこの館をどう思う?」
「どう思う?不思議とは思います」
「なぜ?」
「それは、わけのわからない場所に扉があったり、窓があるから」
「どうして、そう思うのかしら?」
「それは……」
「当たり前だと思っているものと異なるからじゃないかしら?もしかしたら、この建築の仕方も意図があるのかも」
「意図?」
「この館の主である志我一夏に残されていた遺言、そこにもしかしたらこの館の秘密を謎とく答えがある」
「あぁ、くそう!」

食堂に大きな声が響いて僕達は会話が中断となる。
入口にやってきたのは田宮さんだった。
彼は怒っているようだ。

「あら、田宮所長、どうされました?」
「えぇ!?」

この状況下で話しかけるの!
話しかけられた田宮さんは苛立った表情だったが、話しかけてきた人が宮古島さんだとわかると笑みを浮かべる。

「あぁ、いえ、自分が連れてきた部下が昨日の夜からどこかにいったみたいで見つからんのです」
「あらあら、それは大変ね。もしかしてこの館のどこかでまよっているのかしら?」
「いや、逃げ出したんでしょう。アイツは腰抜けですから、全く、これからこの館を調査しなければならんというのに」
「探すのであれば、手伝いますけど」
「いえ、逃げた奴の事なんか放っておいてよいです。それより、館の調査がありますので、私は失礼します」

そういって食堂を出ていく田宮さん。

「えっと、良いんでしょうか?」