「どうして私に内緒で怪異の退治に行ったのよ!」

いつもの朝。
特別教室のドアを開けた先で怒る瀬戸ユウリさんの声。

「またか」

彼女の怒鳴り声を聞きながら僕は教室のドアを閉める。
教室内へ視線を向けると床に転がっている寝袋を揺らしながら叫ぶ瀬戸(せと)ユウリさん。

「昨日から数日、怪異を解決するために活動していたでしょう!どうして、アタシも呼ばなかったのよ!」

瀬戸ユウリさんが揺らしている寝袋。
寝袋の中にいる相手は新城凍真。
彼は怪異と呼ばれる存在を祓う力があり、祓い屋を営んでいる。
昨日の夜も怪異に襲われて困っている人を救うために奔走していた。
どこでその情報を突き止めたのか知らないけれど、瀬戸さんは自分と同じように怪異に巻き込まれた人達を助けたいという思いがある。
一カ月前に起こった妖怪の事件を切欠にこうして、怪異に関わろうとしていた。

「アホか」
ジッパーが動いて片目に黒い眼帯をしている新城が顔を出す。
寝不足なのか、片目の下に凄い隈が出来ている。

「怪異に関わる事は危険もいっぱいだ。怪異と関わって視えるからってそんな危ないところへほいほい行こうと考えるんじゃない」
「むー!」

頬を膨らませて寝袋をぶんぶん揺らしている瀬戸さん。
彼女は少し前に怪異からその身を狙われていた。
僕と新城達は彼女を守るためにその怪異と戦い、追い払う事に成功。
紆余曲折ありながら瀬戸さんも怪異がいることを知り、クラス内で問題を起こした事から僕と新城の二人っきりだった特別教室の一員として参加することになった。

「アタシも怪異を祓う二人の手伝いをしたいんだ!いつも仲間外れにしてぇ!」
「仲間にした覚えはない」
「また、そんなことをいってぇ!」

怪異の世界を知った瀬戸さんは僕や新城の手伝いをしたいという。