お茶菓子が少しとお湯を沸かす為の道具等が置かれている。
ベッドは手を置けばすっぽりと沈んでいくほどに柔らかい。
一流ホテルへ宿泊に来ている気分だ。
天井に景色の見えない雨戸がついていることを除けば。
荷物を置いて、壁にある窓をあける。
窓から見える景色は何もなく木造の壁が広がっていた。

「嘘ぉ?」

外からの景色みられないって窓の意味がないじゃないか。

――コンコン。

荷物を置いて一息つこうとした所で扉がノックされる。
瀬戸さんだろうか?

「はい、どうぞ?」

ガチャリと扉が開いて入ってきたのは瀬戸さんではなかった。

「キミは?」

扉を開けて入ってきたのは少女だった。
年齢は僕と同じか少し下くらいだろうか?
青を基調としたワンピースを身にまとい、肩まで届きそうな長さの髪はそのままにされているが天井の明かりを受けてキラキラと黒い輝きを放っているようにみえた。
顔立ちはとても整っており、美少女と言っても過言ではない。
普通の男なら見惚れてしまうほどの美貌。
そして何より気になったのは左右の目の色が違うという事。
左右が色違いの瞳、右が赤く、左が青い。

「えっと、どちら様?部屋を間違えていたりとかしない?」
「間違えていないよ」
「そっか、えっと、名前は?僕は雲川丈二」

相手の名前を聞くときは自分の名前から。
そう思って名乗ったら少女はにこりと微笑んで部屋から出て行った。
何だったのだろう?
首を傾げていると隣の方から悲鳴が聞こえた。

「え!?」

今の声は瀬戸さんだ。
何かあったのだろうか。

「瀬戸さん、どうしたの!?大丈夫!」

ドアが開いていた事からそのまま中に飛び込む。

「瀬戸さーー」
「人の胸触るなんて何するのよ!?」