行く先のパーティーは普通じゃない。

「これから行く先で集まっている人達は怪異に関わっている人達だ」

これは新城から送られてきたメッセージに書かれていた内容だ。
志我一夏という人は過去に何度か怪異に遭遇している。
怪異に遭遇して、新城のような幾人の祓い屋と交流を持ち、時に祓う事を依頼、中には呪術で優位に立とうと試みた。
今回のパーティーで再び政治家へ戻る為の手段として祓い屋を傘下にしようという可能性がある。

「怪異に関わっているっていう事は凍真みたいな祓い屋が沢山いるって事?」
「祓い屋だけなら良いけどね?この前みたいな呪術を使う危険な相手がいる可能性だってある。警戒を怠らないでって事……後、これ」
「何、この紙?文字が書かれている」
「新城が用意している護符」

不思議そうに護符を眺める瀬戸さんに説明する。
護符は僕や新城が仕事の際に使うものと比べると力は劣るらしいけれど、下級怪異なら手出しは絶対にできない効力があるらしい。

「それを肌身離さずもっていて」
「ただのパーティーじゃない事は理解したけれど、少し大げさすぎない?」
「怪異相手というのは大袈裟すぎる方が普通なんだ」

新城の受け売りだけど。

「今の言葉、凍真の受け売りでしょ」

バレた。

「よくわかったね」
「わかるわ。アンタが使いそうな言葉じゃないもん」
「もう間もなくつきますよ!」

八島さんがバックミラーで僕達の方へ視線を向けながら話しかけてくる。

「とりあえず、さっき話した通りパーティーだけど、油断はしないで、危険な奴がいるかもしれないから」
「わかった……そういえば、なんで凍真はこれないの?」
「それについては僕も知りたいよ」

僕の呟きは車の停車する時の音で掻き消えた。