赤くて黒い世界に俺はずっといた。

鉄臭い匂いがいつも鼻に届いて、俺の心に喪失感を残す。

俺は誰かを殺して今日も生きている。

死んで行く人間の顔は何よりも醜い物で、命乞いの言葉はもっと汚い。

この世界は汚い物が世界を染めている。

今、俺の目の前には真っ白な人間がいる。

白い睫毛から見える瞳で俺を見つめている。

真っ白な額に俺は銃口を突き付け、いつものように引き金を引こうと指を動かした。

だけど、俺の指は動く事を拒否した。

それはまるで呪いのように、毒に体を犯されているかのように動かなくなった。

「私を殺しに来たんですか?」

少女の高くて甘ったるい声が耳に届いた。