走り出した馬がに空に向かって登り出した。
そして、そのまま空に浮いた状態で馬車は走り出した。
「凄いですよ美猿王。この馬車、空を走ってますよ!!」
丁が興奮気味に俺に話してきた。
「この馬車の馬、妖怪だぜ?」
「え!?この馬ですか?」
「普通の馬だったら空を飛ぶ事が出来ねぇだろ。」
「確かに…。」
この馬車もかなりの高級品だろうな。
座り心地も良いし、お茶が飲めるようにセットもさ
れている。
お茶の種類は工芸茶か…。
俺が好きだと分かっていて用意したのか。
「あ!!このお茶、美猿王の好きなお茶ですよね?飲みますか?」
「あぁ。」
「分かりました。」
丁は手慣れた手付きで工芸茶の用意をした。
茶葉をポットに入れてお湯を注ぐと、ゆっくりと茶葉が開き中から色鮮やかな花が顔を覗かせた。
見た目は甘そうに見えるが飲んでみると苦味とお茶
葉の味が口に広がり花の香りが鼻に届く。
「はぁ…美味い。」
「美猿王は本当に工芸茶がお好きですね。」
「見た目と味が好きなんだ。」
「それにしてもまだ着きませんねぇ。」
丁が外を見ながら呟いた。
俺も外に視線を向けた。
鼠色の煙が馬車を包んでいた。
この煙…。
窓を開けて見るとお香の匂いがした。
「美猿王?どうかしましたか?」
俺は上半身を乗り出し屋根を見てみると、お香が置
かれていた。
このお香…どっかで見た事があるな…。
「危ないてますよ美猿王!!何やってるんですか?!」
ガシッ!!
そう言って丁は俺の足を掴んだ。
「大丈夫だって。戻るから足離せ。」
「あ、はい。」
丁が俺の足から手を離したのを確認してから馬車の中に戻った。
「何してたんですか美猿王…。」
「この馬車の周りにまとわり付いている煙が気になって屋根を覗いたんだよ。」
「煙ですか?これ雲じゃなかったんですか!?」
「普通の奴なら気付けねぇよ。それにこの煙はお香の煙だ。」
「お香?」
このお香に何か意味がある筈だ。
だけどそれが分からない。
ガタガタッ!!
そんな事を考えていると馬車が止まった。
キィィィ。
使いの2人組が馬車の扉を開けた。
コイツ等に聞いて見るか。
「屋根に置いてあるお香は何だ?」
「あれは幻術を見せるお香であります。牛魔王様のお屋敷の場所がバレないようにしております。」
幻術のお香?
「屋敷の場所がバレたらまずいのか。」
「牛魔王様は沢山の妖から狙われておりますゆえ敵襲に来られても困りますから。」
へぇ、その為にお香を焚きながら馬車を走らせていた訳か。
頭が良いんだな牛魔王は。
用意周到って奴か。
「美猿王様はまだ牛魔王と盃を交わしていませんからお香を焚かせていただきました。」
「別に。気になっただけだから良い。」
「ではご案内致します。」
俺と丁は馬車から降りて使いの2人組の後を追った。
馬車は屋敷から少し離れた距離に止められたので暫く歩く事になった。
目の前に現れた黒い龍が屋敷全体に巻き付いていた。
龍の体を触ってみた。
石みたいに硬いな。
この龍はどうやら作り物のようだ。
「凄い屋敷ですね…。こんなの初めて見ました。」
丁は屋敷を見て唖然としていた。
屋敷の中も凄かった。
高価な花瓶や家具、置物が廊下の至る所に飾られていた。
大きな扉の前から騒ぎ声が聞こえた。
「ギャハハハハ!!」
「もっとやれー!!!」
他にも沢山来てるのか。
「こちらが会場でございます。」
「あぁ。」
コンコンッ。
使いの2人組が扉を叩くと騒ぎ声が止まった。
声が止んだ?
それに騒がしかった空気が一気に静まり返った。
「「牛魔王様。美猿王様をお連れしました。」」
「通してくれ。」
低い声の男が返事をした。
使いの2人組は男の声を聞くと扉を開けた。
キィィィ。
扉を開けると数え切れない程の妖が俺と丁を見ていた。
大きな椅子に座っている男が牛魔王なのだと悟った。
襟足の長いグリーンアッシュの髪に赤い瞳、色白の肌に黒い龍の彫り物が体全体に入っていて高価なアクセサリーを身に纏っていた。
椅子から降りて来た牛魔王は俺の方に向かって歩いて来た。
カツカツカツ。
俺の前に来て牛魔王は足を止めた。
「初めまして美猿王。うちの者がご迷惑をかけませんでしたか?」
牛魔王は見た目の割には腰の低い感じだった。
「ちゃんと案内して貰ったぜ。アンタが牛魔王か?」
「ちょ!!美猿王!!」
丁が俺の服を引っ張った。
「敬語を使って下さい!!一応こっちは呼ばれた側なんですから!!」
「あ?敬語?」
「アハハハ!!気にしなくて良いよ。さっ!こっちに来てくれ。皆んなを紹介するから。」
牛魔王は笑いながら俺に手招きをした。
「行くぞ丁。」
「は、はい…!」
俺達は牛魔王の後に付いて行った。
俺達は妖怪達の視線を集めた。
だが、どうして牛魔王が俺を呼んだのか分からない。
会った事もない奴を宴に呼ぶとか…。
皆んなに紹介?
牛魔王の仲間に俺を紹介するのか?
よく分かんねぇ奴。
「どうして俺が美猿王を呼んだのか分からないって顔してるな。」
「っ!?」
急に牛魔王が振り返り不意に確信を突かれた。
「美猿王は素直だなー。いや、美猿王の噂を聞いてはどんな奴かなーって思ってさ。」
「噂?俺のか?」
「知らないの?残虐王って呼ばれてるの。」
「残虐王?」
牛魔王から話を聞くと、妖怪や自分達の山を支配しようとした者を残虐なやり方で殺していると言う噂だ。
丁は黙って牛魔王の話を聞いていた。
チラッと丁の顔見ると、俺の噂の事を知っているような顔をしていた。
丁はあえて俺に言わなかったのだろう。
噂とか作り話に興味がなかったら話されても困る。
「可愛い顔してるのにやり方が残虐過ぎてヤバイって凄いね。」
「俺は俺の邪魔する奴を殺しただけだ。」
「そう言う所が俺と似てるなと思ってさ。」
確かにコイツからは俺と同じ匂いがする。
後を付いて行くとさっきまで牛魔王が座っていた席
に案内された。
そこにいた奴等は今まで会った妖怪達とは違った。
「皆んなに紹介するよ。」
牛魔王そう言って俺の肩に手を置いた。
そして、そのまま空に浮いた状態で馬車は走り出した。
「凄いですよ美猿王。この馬車、空を走ってますよ!!」
丁が興奮気味に俺に話してきた。
「この馬車の馬、妖怪だぜ?」
「え!?この馬ですか?」
「普通の馬だったら空を飛ぶ事が出来ねぇだろ。」
「確かに…。」
この馬車もかなりの高級品だろうな。
座り心地も良いし、お茶が飲めるようにセットもさ
れている。
お茶の種類は工芸茶か…。
俺が好きだと分かっていて用意したのか。
「あ!!このお茶、美猿王の好きなお茶ですよね?飲みますか?」
「あぁ。」
「分かりました。」
丁は手慣れた手付きで工芸茶の用意をした。
茶葉をポットに入れてお湯を注ぐと、ゆっくりと茶葉が開き中から色鮮やかな花が顔を覗かせた。
見た目は甘そうに見えるが飲んでみると苦味とお茶
葉の味が口に広がり花の香りが鼻に届く。
「はぁ…美味い。」
「美猿王は本当に工芸茶がお好きですね。」
「見た目と味が好きなんだ。」
「それにしてもまだ着きませんねぇ。」
丁が外を見ながら呟いた。
俺も外に視線を向けた。
鼠色の煙が馬車を包んでいた。
この煙…。
窓を開けて見るとお香の匂いがした。
「美猿王?どうかしましたか?」
俺は上半身を乗り出し屋根を見てみると、お香が置
かれていた。
このお香…どっかで見た事があるな…。
「危ないてますよ美猿王!!何やってるんですか?!」
ガシッ!!
そう言って丁は俺の足を掴んだ。
「大丈夫だって。戻るから足離せ。」
「あ、はい。」
丁が俺の足から手を離したのを確認してから馬車の中に戻った。
「何してたんですか美猿王…。」
「この馬車の周りにまとわり付いている煙が気になって屋根を覗いたんだよ。」
「煙ですか?これ雲じゃなかったんですか!?」
「普通の奴なら気付けねぇよ。それにこの煙はお香の煙だ。」
「お香?」
このお香に何か意味がある筈だ。
だけどそれが分からない。
ガタガタッ!!
そんな事を考えていると馬車が止まった。
キィィィ。
使いの2人組が馬車の扉を開けた。
コイツ等に聞いて見るか。
「屋根に置いてあるお香は何だ?」
「あれは幻術を見せるお香であります。牛魔王様のお屋敷の場所がバレないようにしております。」
幻術のお香?
「屋敷の場所がバレたらまずいのか。」
「牛魔王様は沢山の妖から狙われておりますゆえ敵襲に来られても困りますから。」
へぇ、その為にお香を焚きながら馬車を走らせていた訳か。
頭が良いんだな牛魔王は。
用意周到って奴か。
「美猿王様はまだ牛魔王と盃を交わしていませんからお香を焚かせていただきました。」
「別に。気になっただけだから良い。」
「ではご案内致します。」
俺と丁は馬車から降りて使いの2人組の後を追った。
馬車は屋敷から少し離れた距離に止められたので暫く歩く事になった。
目の前に現れた黒い龍が屋敷全体に巻き付いていた。
龍の体を触ってみた。
石みたいに硬いな。
この龍はどうやら作り物のようだ。
「凄い屋敷ですね…。こんなの初めて見ました。」
丁は屋敷を見て唖然としていた。
屋敷の中も凄かった。
高価な花瓶や家具、置物が廊下の至る所に飾られていた。
大きな扉の前から騒ぎ声が聞こえた。
「ギャハハハハ!!」
「もっとやれー!!!」
他にも沢山来てるのか。
「こちらが会場でございます。」
「あぁ。」
コンコンッ。
使いの2人組が扉を叩くと騒ぎ声が止まった。
声が止んだ?
それに騒がしかった空気が一気に静まり返った。
「「牛魔王様。美猿王様をお連れしました。」」
「通してくれ。」
低い声の男が返事をした。
使いの2人組は男の声を聞くと扉を開けた。
キィィィ。
扉を開けると数え切れない程の妖が俺と丁を見ていた。
大きな椅子に座っている男が牛魔王なのだと悟った。
襟足の長いグリーンアッシュの髪に赤い瞳、色白の肌に黒い龍の彫り物が体全体に入っていて高価なアクセサリーを身に纏っていた。
椅子から降りて来た牛魔王は俺の方に向かって歩いて来た。
カツカツカツ。
俺の前に来て牛魔王は足を止めた。
「初めまして美猿王。うちの者がご迷惑をかけませんでしたか?」
牛魔王は見た目の割には腰の低い感じだった。
「ちゃんと案内して貰ったぜ。アンタが牛魔王か?」
「ちょ!!美猿王!!」
丁が俺の服を引っ張った。
「敬語を使って下さい!!一応こっちは呼ばれた側なんですから!!」
「あ?敬語?」
「アハハハ!!気にしなくて良いよ。さっ!こっちに来てくれ。皆んなを紹介するから。」
牛魔王は笑いながら俺に手招きをした。
「行くぞ丁。」
「は、はい…!」
俺達は牛魔王の後に付いて行った。
俺達は妖怪達の視線を集めた。
だが、どうして牛魔王が俺を呼んだのか分からない。
会った事もない奴を宴に呼ぶとか…。
皆んなに紹介?
牛魔王の仲間に俺を紹介するのか?
よく分かんねぇ奴。
「どうして俺が美猿王を呼んだのか分からないって顔してるな。」
「っ!?」
急に牛魔王が振り返り不意に確信を突かれた。
「美猿王は素直だなー。いや、美猿王の噂を聞いてはどんな奴かなーって思ってさ。」
「噂?俺のか?」
「知らないの?残虐王って呼ばれてるの。」
「残虐王?」
牛魔王から話を聞くと、妖怪や自分達の山を支配しようとした者を残虐なやり方で殺していると言う噂だ。
丁は黙って牛魔王の話を聞いていた。
チラッと丁の顔見ると、俺の噂の事を知っているような顔をしていた。
丁はあえて俺に言わなかったのだろう。
噂とか作り話に興味がなかったら話されても困る。
「可愛い顔してるのにやり方が残虐過ぎてヤバイって凄いね。」
「俺は俺の邪魔する奴を殺しただけだ。」
「そう言う所が俺と似てるなと思ってさ。」
確かにコイツからは俺と同じ匂いがする。
後を付いて行くとさっきまで牛魔王が座っていた席
に案内された。
そこにいた奴等は今まで会った妖怪達とは違った。
「皆んなに紹介するよ。」
牛魔王そう言って俺の肩に手を置いた。