孫悟空 十八歳

遅かった?

それはどう言う意味なんだ?

「毘沙門天が俺に今日の事を知らせないように裏で動いてたんだよ。」

観音菩薩の言葉に答えた金蝉は毘沙門天に視線を向けた。

ん?

金蝉に見られた毘沙門天が嫌な顔をしてる…。

もしかして、コイツがここに来たらまずいから毘沙門天は今日の事を言わなかったんじゃないか?

それ程、この男には何かしらの力があるから…か?

「それはどう言う事ですか?毘沙門天。」

黙っていた天帝が口を開き、毘沙門天に尋ねた。

この状況は…、もしかしたら逆転したのか!?

「そ、それは…。」

毘沙門天が口籠もった。

「金蝉は美猿王に命を救われたんですよ天帝。」

「なっ!?それはどう言う事ですか観音菩薩!!」

答えない毘沙門天の代わりに観音菩薩が答えると、

毘沙門天が驚きの声を上げた。

俺が金蝉って男を助けた?
いつだ?

全然覚えてねぇ…。

この男は…何者なんだ?

そんな事を考えていると、金蝉と目が合った。


捲簾と天蓬は到着した金蝉の姿を見てホッと胸を撫で下ろしていた。

「やっぱり、金蝉の到着が遅かったのは毘沙門天の差し金か。」

「あぁ、ちゃっかりしてるよ。金蝉の使用人を金で
買ったんだからなぁ。」

捲簾と天蓬はこの時に毘沙門天が黒だと言う事を確
信していた。

2人のこの発言を強く出来るのは金蝉だけだったのだ。

金蝉は美猿王と毘沙門天の顔を交互に見ながら口を
大きく開き、話し始めた。

「俺の屋敷に追い出され、彷徨った森の中で妖に殺されそうになった所を悟空に助けられたんだ。もう何年も前の出来事だが、俺は悟空に感謝している。須菩提祖師を父のように慕っていた悟空が殺す筈がない!!」

金蝉の言葉は円形闘技場に響き渡った。

「そして、この毘沙門天の言葉に惑わされるな!悟空の言葉を俺は信じる。あの日の事を悟空は覚えているかは分からない。だが、俺がここに来たのは私利私欲の為ではない。悟空の為にここに来たんだ!!」

金蝉の言葉に偽りは一つもなかった。


観音菩薩と金蝉の友人である捲簾と天蓬にはこの話をしていたのだった。

金蝉が現れ、孫悟空と言う名を出さなければ影響力がないと感じた捲簾と天蓬は孫悟空と言う名をあえて言わなかったのだった。

そして、神々達や天帝に孫悟空と言う名が天界中に広まる事なる。

美猿王を貶めようとしている毘沙門天の動きを止める為には金蝉がこの場に現れないといけなかった。

「そ、それじゃあ…。毘沙門天様のお言葉は全て嘘?」

「ど、どう言う事なんだ?」

「美猿王と言う名前ではないのか?孫悟空…と言うのが本当の名なのか?」

神々達が次々に口を開き毘沙門天への疑心感が湧き上がった。

「これも全ては君の思考の上と言う訳ですかな?観音菩薩。」

天帝は隣に座る観音菩薩に尋ねた。

観音菩薩は天帝を見つめて軽く笑った。

「人の心を動かすのも壊すのも人ですからね?相手が人々に恐れられた妖でもね。美猿王は須菩提祖師や金蝉の心を動かしたんですよ。」

「あの金蝉童子が声を荒げるなんて…。」
如来はそう言って金蝉を見つめた。

金蝉童子は釈迦の第二弟子であった。

彼はいつも書庫に閉じ籠り、ひたすら書物を読み漁る日々だった。

金蝉童子は人に全く興味がなく、それを見かねた釈
迦が金蝉童子を暫く旅に出ろと言い屋敷を追い出した。

のちに、美猿王との出会いに繋がる事になる。


金蝉童子 二十二歳

俺は人と関わる事がとにかく面倒だった。

孤児だった俺を引き取ったのが、釈迦如来だった。

釈迦如来は俺に仏教の知識を叩き込んで来た。

幸いな事に俺は要領が良かったらしく、凡ゆる難解と言われた試験も難なく受かった。

釈迦如来のお墨付きと言う噂は天界中に響き渡たり、釈迦如来の代わりに天帝達の集会に何度か出た事があった。

つまらない話ばかりをして、肝心な問題は見て見ぬ

フリをする神々達に俺は嫌気がしていた。

そんな中、1人の人物が俺に興味を持った。

その人物とは、観音菩薩だ。

観音菩薩は俺よりも遥かな知識があった。

頭脳戦では観音菩薩に勝てた事がなかった。

観音菩薩は何かと俺を気にかけ、話し掛けて来た相手だ。

集会が無い限りは書庫に閉じ籠っていた。

そんな俺に嫌気をさした釈迦如来はついに俺を屋敷から追い出した。

「お前は少し、人間に興味を向けなさい。暫く帰って来るな。」

「は?」

釈迦如来はそう言って俺と、少しの食料が入った袋を持たせると屋敷から追い出した。

「は!?ふざけんなよ!!」

閉ざされた屋敷の門を何度も力強く叩いた。

だが、誰も返事をしなかった。

静まり返った屋敷が現実を叩き付けた。

「俺を追い出して満足かよ。」

俺にどうしろと?

人に興味を持てって何だよ。

別に人と関わらなくたって生きていけるだろ。

釈迦如来の言葉が理解出来なかった。

俺は渋々、袋を肩にか掛け暗い森の中に足を踏み込んだ。

灯りがないだけで暗い森の中は恐怖心を掻き立てた。

「どうにかしないとな…。」

俺は火の付け方なんて分からなかった。

どうやって火を作れば良いんだ?

とりあえず、小枝を集めれば良いのか?

俺は手探りで小枝を集めた。

ガサガサッ!!!

「っ!?」

茂みの中から数人の人の形をした妖達が現れた。

「おいおい!!人がいるぞ!!!」

「ッチ。何だよ1人しかいないじゃないか。」

「先にこの人間を殺した奴の食料と言う事だな。」
妖達の会話は何とも下品な会話だった。

どうやら、食料を探していた妖達と小枝を拾い集め
ていた所にバッタリ会ってしまったのか…。

どうしよう…。

俺、武術は何にも出来ないのに…。

後退りする俺に合わせて妖達は俺に近付いて来た。

ドンッ!!

後ろに大きな木がある事に気付かなかった!!

俺は…、ここで死ぬのか?

「おいおい!!コイツ泣きそうな顔してんぞ!!」

「ギャハハハ!!男のくせに情けねぇな!!」

俺の顔を見た妖達が大声で笑い出した。

気持ち悪い光景だ。

こんな奴等に喰われて終わるのかよ…。

「それじゃあ…いただきま!!」

ゴキッ!!!

先頭にいた妖が俺に喋りながら近付いて来ようとした時だった。

骨の折れる鈍い音が森に響いた。

ボトッ。

俺の足元に何かが転がって来た。

暗くてよく見えない…。

そう思っているとパッとその場が急に明るくなった。

俺の足元には先頭にいた妖の頭が転がって来ていたのだった。

足元にもう一つ、人の形をした影があった。

目線を上に上げると、灯りを持った男がたっていた。

「っな!?お、お前は…!!」

妖達が男の顔を見て驚愕していた。

「な、何でここに!?」

「お前等には関係ねーだろ?それより死にたい奴は前に出ろ。」

男の冷たい言葉は妖怪の体を恐怖で縛り上げた。

この男のオーラは只者じゃない!!

「す、すすすいません!!美猿王様のお連れとはき、気がつきませんでした!!」

そう言って妖怪達は頭を下げた。

美、美猿王!?

噂で聞いた事があった。

火山島の美猿王…。

牛魔王と兄弟盃を交わし、金金財宝や酒を盗み、敵と見做(みな)した人物には容赦なく殺しを行う最低最悪の猿の王と…。

まさか、美猿王が現れるなんて思ってもいなかった。

「死にたくなかったらさっさとどっか行け。」

もしかして、俺の事を庇ってくれてるのか…?

美猿王がそう言うと、妖怪達は震える体を抑えなが

ら走って逃げて行った。

はぁ…、よ、良かった…。

いなくなって…。

ドサッ。

安心したら腰が抜けてしまい、その場に座り込んでしまった。

すると、美猿王が振り返り俺の目線に合わせ腰を下ろして来た。

灯りに照らされた赤茶色の髪はサラサラしていて、

雪のように白い肌に茶金の瞳はとてもよく映(ば)えていた。

「お前、怪我は?」

「へ?」

俺は思わず間抜けな声を出してしまった。

だ、だって、噂で聞いた美猿王とは違っていたからだ。

「だから、怪我してねぇ?って聞いてんだけど。」

「な、ない…。」

「そうか、なら良い。こんな夜遅くに1人で何してんの。ここら辺は妖が出るって聞いた事ねぇ?」

「えっと。屋敷を追い出されて途方にくれてた…。」

俺がそう言うと、美猿王は溜め息を吐いた。

「お前も災難だな。まぁ、灯りが有ればなんとかなるだろ。」

「灯り良いのか?」

「あぁ。俺の連れがあっちにいるから大丈夫だ。良かったら合流するか?」

「へ!?」

「まぁ…。連れがこの状況を見たら、連れて来いって言うだろうし。付いて来い。」

そう言って、美猿王は立ち上がって歩き始めた。

「ま、待って!!」

俺は慌てて立ち上がり、急いで美猿王の後に付いて行った。

後に付いて行くと、焚き火をしている須菩提祖師の姿があった。

向こうも俺の事に気付いたが、指を口に当てた。

内緒と言う事か…。

合流した後は暫くの間、俺と美猿王、須菩提祖師と話をした。

須菩提祖師と話している美猿王は親子のようだった。

美猿王が丸くなったのは、須菩提祖師のお陰なのだと直感した。

須菩提祖師も美猿王の事をとても可愛がっている事が分かった。

パチパチッ。

音を立てながら燃え盛る火を見つめていると、須菩
提祖師が俺に近付いて来た。

「まさか、金蝉童子と出会とは…。偶然と言うよりかは必然と言った方が宜しいかな?」

須菩提祖師はそう言いながら俺の隣に腰を下ろした。

「美猿王は?」

「ハハッ。彼奴はあっちの木の上で寝てしまいましたよ。」

そう言った須菩提祖師は父親の顔をしていた。

「噂で聞いた美猿王とは…、全然違いました。」

「ハハッ!!最初の頃は噂通りの男でしたよ。誰にも心を開かず、己の欲求だけで動いていた。だけど、悟空と過ごして行くうちに…、可愛く思えてしまってね。悟空はいずれこの世界を変える人物となりますよ。」

「悟空…?」

「あぁ、彼はもう美猿王じゃありませんよ。彼の名前は孫悟空。私が名を与えました。」

須菩提祖師が名前を…。

孫悟空ー 空を悟る者…か。

美猿王は己の殻を破り、新しい自分になったのか…。

「美猿王…いや、悟空の瞳には何か力があるのかもしれません。」

「金蝉童子に分かっていただけて光栄です。貴方と悟空がこの世界を変える架け橋となるかもしれませぬ。」

この時はまだ、須菩提祖師の言葉の意味が分かっていなかった。

孫悟空と出会い、俺の考え方は変わった。

須菩提祖師達と分かれた後、俺は何個か町を回った。

町には沢山の人々がいて、良い人もいれば悪い人もいる事を知った。

だけど、人は誰かと支え合って生きている。

釈迦如来はこの事を俺に教えたかったのかと分かった。

孫悟空と出会い、捲簾と天蓬達とも出会えた。

あの日、孫悟空に助けられていなかったら今の俺は
この世にいない。

そして、俺の目の前にはあの日、助けてくれた孫悟
空がいる。

今度は俺が、この人を助ける番だ。


孫悟空 十八歳 

「毘沙門天。どう言う事か説明していただきたい。」

明王はそう言って毘沙門天を見つめた。

だが、毘沙門天は言葉を探しているせいなのか、
中々口を開こうとしない。

今、ここにいる神々達は毘沙門天に疑心感を持っている。

毘沙門天の策略が落ちる!!

そう思っていると、牛魔王がニヤリと笑い口を開けた。

「これも全て美猿王…いや、孫悟空の術中の上だと気付かれないのですか?」

「っな!!?」

牛魔王は想像していなかった言葉を放った。

「明王様。これも全て孫悟空の術中の上なのです。金蝉童子を助けたのもこの場で発言させる為だとしたら?須菩提祖師に気に入れられた方が不老不死の巻き物を手に入れやすくする為の罠だとしたら?」

牛魔王がそう言うと神々達はハッとした表情を浮か
べた。

コイツ!!

嘘の話を平気でペラペラ喋ってやがる!!

「テメェ!!ふざけんなよ!!」

ゴッ!!

額に痛みが走った。

俺の足元に転がって来たのは少し大きめの石だった。

額に血が流れた。

は?

「化け物の言葉を信じる所だったわ!!」

「さっさと死ね!!化け物!!」

神々達はそう言って俺に向かって石を投げて来た。


捲簾と天蓬は石を投げようとする神々達を止めようとしていた。

「やめろ!!」

捲簾が手を伸ばそうとすると、捲簾の首元に刃が光った。

「やめるのは貴方達ですよ。」

捲簾は視線を周りに向けると、近衛兵達が捲簾と天蓬に刃を向けていた。

およそ30人の近衛兵達が捲簾と天蓬を取り囲んでいた。

「ハッ、お前等はとっくに毘沙門天に買われた兵士って事かよ。」

天蓬はそう言って腰に下げていた剣を抜き、刃を向けている兵士の首元に刃を向けた。

「流石にこの人数を相手にするのは手こずるでしょう?捲簾大将、天蓬元帥殿?」

「ッチ。お前等の狙いは俺達の動きを止める為か。」

「毘沙門天様の御命令ですので。」

捲簾と天蓬が足止めを食らっている中、金蝉童子もまた同じような状態だった。


石を投げ付けられてる孫悟空を助ける為に、金蝉は

下に降りようとした時だった。

ガシッ!!

金蝉の腰に抱き付いて来たのは使用人だった。

「なっ!?離せ!!」

暴れる金蝉を次々に現れた使用人達が体を押さえつけた。

「離せ!!俺は悟空の所に行くんだ!!」

「行かせません!!このままだと貴方まで罪人扱いされますよ!!」

「うるさい!!離せ!!離せよ!!」

使用人達は金蝉童子の言葉に耳を傾けなかった。

金蝉はただ、石を投げつけられる孫悟空を見ているしかなかった。

神々達は「殺せ、殺せ!!」と声を合わせながらひたすら石を孫悟空に投げ付けていた。

金蝉が変えた空気を牛魔王の言葉で変えられてしまったのだ。

孫悟空の体に石がぶつかり血を流しても一瞬で傷が再生してしまう。

体の痛みだけが残ったまま、ひたすら石を投げられていた。

「黙りなさい!!!」

天帝の大きな声が円形闘技場に響き渡った。


孫悟空 十八歳

天帝の大きな声が円形闘技場に響き渡たり、神々達は動きを止めた。

玉座から立ち上がった天帝は再び口を開いた。

「これ以上、口論をしても仕方がありません。美猿王…いや、孫悟空。貴方には五行山(ゴギョウサン)に500年封印の刑に処す!!」

カンカンッ!!
そう言って天帝は持っていた杖を地面に強く叩き付けた。

500年…、封印?

目の前が真っ暗になった。

天帝達は牛魔王の言葉を信じてこんな事を言った…のか?

神は牛魔王の言葉を信じたのか…?

俺の中の何かが音を立てて壊れた。

結局こんなものか…。

ハッ。

馬鹿馬鹿しい。

この世界の神々達は何て汚いんだ。

「今すぐ孫悟空を五行山に連れて行きなさい!!」

天帝がそう言うと俺の周りに近衛兵達が集まった。

俺の体を押さえ付け、俺の目元に黒い布を巻いた。

「悟空!!!」

金蝉の声が聞こえて来た。

「絶対に悟空の事を助けるから!!だから!!待っててくれ!!」

どんな表情でこの言葉を言っているのか分からなかった。

この男の言っている事が本当なのかもから分からない。

俺は近衛兵達と共に円形闘技場を後にした。



孫悟空の裁判が終わり神々達は次々に円形闘技場を後にした。

ホッとした毘沙門天は椅子に座り込んだ。

「ハァ…、ハァ。助かりましたよ牛魔王…。」

「慌て過ぎなんですよ。これじゃあ怪しまれても仕方ありませんよ。」

「貴方の頭がよく回るんですよ…。」

「フッ。天帝の言葉のおかげで俺の計画は成功し
た。それじゃあ俺達はこれで失礼するよ。」

そう言って牛魔王と六大魔王は円形闘技場を後にした。


孫悟空がいなくなった事を確認した近衛兵達は捲簾と天蓬の首元に向けた刃を下げた。

「では、我々はこれで。」

そう言って30人の近衛兵達は円形闘技場から出て行った。

捲簾は手すりを思いっきり殴り付けた。

「何だよこの結果は!!」

「やられたな。牛魔王の言葉で神々達の意識を美猿王…いや、悟空の方に向けちまったんだたからな。」

「天帝も何を考えてこの結果にしたんだ。」

「さぁな…。俺達に神々の考え方は分からねぇ。ただ、分かった事は天界の連中が腐ってるって事だけだ。」

そう言った天蓬の顔はとても怖かった。


孫悟空 十八歳

そのまま馬車に乗せられた俺は五行山に向かっていた。

爺さん…。

俺は…、爺さんの夢を叶えられそうにねぇや。

この世界の神達は腐ってやがる。

こんな世界に何も希望が湧かない。

ガタッ!!
山道を走っていた馬車が止まり、俺は首に付いた首輪の鎖を引っ張られながら馬車を降りた。

降りると目隠しを外すされ、背中を強く押された。

ボヤけた視界で確認出来たのは岩の柱が何本が立っていた事。

「もう、出て来るなよ化け物が。」

「アハハ!!無様だな!!」

近衛兵達はそう言って笑いながら馬車に乗り込んで行き、山道を降りて行った。

周りを見ると、彼方此方に札が貼られていた。

何の札なのか分からなかったが、それもどうでも良い事だ。

カチャッ。

岩の牢獄の中に響くのは鎖の音だけ。

俺はもう、誰も信じねぇ。

絶対に殺してやる。

牛魔王…。

お前と出会わなければ爺さんや才達は殺される事なんてなかったんだ。

殺してやる、殺してやる!!

絶対にお前だけは許さねぇ!!!


こうして、孫悟空は500年間 五行山に封印された。

そして500年後の春、孫悟空はもう一度出会う事になる。

あの男とー。



 第壱幕 落とされた猿 完