「……はっ?」

「え……」

華音を争った仲……? しかも叔父さんと? 煌も月音も呆気にとられてしまった。

「結果、華音は私のところへ来てくれたが、叔父上からしたら華音はいまだに愛らしい少女なんだろう」

「「………」」

月音にとっても衝撃の事実発覚。月音と煌、そろって言葉を失う。

だが月音は少しだけ回復が早く、父に問うた。

「ま、まさか大叔父様がご結婚もそれなりに年齢を重ねられてからだったのって……」

「華音のこと引きずってたからだな」

「………」

煌、またもやなんと言っていいのかわからなくなった。

(神崎家は……すごいとこだな……)

そしてそこに許嫁として入ることになりそうな自分。

辞退する気なんかさらさらないが。

「私は自分でも自覚あるくらい父様に似てよく錯乱しますし、混乱しますし、問題ごと引き起こしますし……」

あ、そこ父様似だったんだ……。問題起こすところも碧人似とは。

……納得のいった煌。糸目のままだ。

「余計なところばかり似てしまったな……」

(一応でも否定しないんだ)

碧人は達観したような眼差しで娘を見やる。

「まあそれは置いておいて、華音の話だ」

(あ、やっと本題になった)

話が逸れまくっていたので、煌は少しほっとした。

「はい……」

月音は神妙な顔で居住まいを正した。

碧人も表情を引き締める。

「月音は、自分の血であやかしを滅していたようだな?」