彼と過ごす時間はいつだってあっという間だ。もたもたしていると桜が開花してしまいそうなほどに。でもそれでいい。時間が早く過ぎてくれればそれだけ再会も早いのだから。
「じゃ、行ってくる!」
「うん、いってらっしゃい!」
小走りで去っていくその背中が見えなくなるまで私は手を振り続けた。
「あ、そういえば第二ボタンうの忘れてた……」
校門前で独り呟く。一瞬だけ落胆した後、すぐに「まぁいっか!」と切り替えた。ボタンなんて今度会った時に貰えばいい。はじめが私の立場ならきっとそうする。だから私も小さなことでは気を落とさない。悲観的な私からはもう卒業だ。
そうだ、はじめが居てくれれば私は前を向ける。どこまでだって行ける。
私ははじめのことが好きだ。
鼻歌混じりに校門をくぐり、私の高校生活は幕を下ろした。
それから僅か二時間後のことだった。はじめが事故で死んだと知らされたのは。
「じゃ、行ってくる!」
「うん、いってらっしゃい!」
小走りで去っていくその背中が見えなくなるまで私は手を振り続けた。
「あ、そういえば第二ボタンうの忘れてた……」
校門前で独り呟く。一瞬だけ落胆した後、すぐに「まぁいっか!」と切り替えた。ボタンなんて今度会った時に貰えばいい。はじめが私の立場ならきっとそうする。だから私も小さなことでは気を落とさない。悲観的な私からはもう卒業だ。
そうだ、はじめが居てくれれば私は前を向ける。どこまでだって行ける。
私ははじめのことが好きだ。
鼻歌混じりに校門をくぐり、私の高校生活は幕を下ろした。
それから僅か二時間後のことだった。はじめが事故で死んだと知らされたのは。