私の宣言に、はじめは「約束な!」と白い歯を見せて笑った。少し前の私だったら世界一なんて言葉を聞いても「現実的じゃない」だとか「私には無理だ」とか、多少前向きに捉えても「精々日本でちょっと有名になるのが関の山」だとか、そんなことを考えていたに違いない。

 だけどはじめのおかげで私は変わることができた。
 世界一の歌手になる。それが今の私の大きな夢だ。

「大学は別々だけどこれからもよろしくね」
「ああ。しばらくはお互い忙しくて会えないかもしれんけど、次会う時までに歌も上手くなっとくから覚悟しとけ!」
「じゃあ次会う時はまたカラオケデートかな?」
「だな」

 ああ、好きだなぁ。
 離れ離れになる寂しさはあれど、不思議と不安感はなく、会えない時間さえも自分を磨く機会として捉えられる。恋人がはじめでなければあり得ない価値観だ。

「てか、悪い。そろそろ行かなきゃだ。ごめんな全然話せなくて」
「ううん、大丈夫。未来のチームメイトたちなんだからそっちも大切にしてあげて。私はもう充分すぎるくらい大事にしてもらってるから」