ひとしきり笑い合い、それからはじめはふと真面目な顔で「やっぱ、凛が彼女で良かったわ俺」と歯の浮くようなことを言い始めた。

「え、どうしたの急に」
「別に落ち込んでたわけじゃないけど、凛と話してるとなんか元気出るんだよ。頑張ろうって思えるというか。だから、いつもありがとな」

 それは私の台詞だ。悲観的な私とは対照的に、はじめは常に前を向いて生きている。私が枯れた桜を見て寂しそうだと感じるのなら、はじめは「綺麗な花を咲かせるための準備期間なんだろうな」なんて考えるのだろう。

 ポジティブなその思考はいつだって私の心をはじめと同じ方へ向かわせてくれる。サッカー選手を目指して一心不乱に励むはじめを見ていると私も頑張ろうと思えるんだ。

「私、はじめの夢応援してるよ。いつか絶対プロのサッカー選手になってね」
「おう! だけど一個訂正。俺はプロになるんじゃなくて、プロになって世界一の選手になる、な」
「ふふ、そうだったね」
「凛も頑張れよ! 俺だって凛の夢を応援してんだから」
「任せて。私も歌手になって世界一に輝くから」