中学は、愛子の勧めもあって桜庭学園ってとこに入った。

なんでも、寮はあるしメシつきだし、特待生になれれば学費諸々は手がかからないそうだ。

俺も、そういったこと――学費とかでじいさんや龍さんに面倒かけるのは嫌だったし、天龍から通える距離に学校はなかったから、いっそ寮に入っても構わなかった。

一年すればりゅうとふゆも入るし。

そんな感じで、俺は家族たちから離れた一年を過ごすことになる。

……しくじった。

愛子が勉強面はうるさかったから、成績はいい方だった。特待生にもなれた。

天龍から離れて俺の目の前に迫ったのは、現実だった。

家族というものは血が繋がっているという、現実。

色々と――カルチャーショック? みたいなもんを受けた。

更に俺は交友関係が不器用だった。

記憶にある限り、親しくなれたのはりゅうとふゆだけで、小学校にあたる六年間は、分校の更に分校みたいなところで、俺たち三人しか生徒がいなかったんだ。

そのあとに五人ほど固まって新一年生になったから、なんとか分校は存続したらしいけど。

そんなんだから友達もうまく作れなかった。

てめえのダメさ加減を知ったときだ。

そして更にダメなことに、俺はそれに危機感を感じなかった。

りゅうとふゆさえいりゃーだいじょーぶ、みてえなノリだったんだ。三年間、終始。アホだよな。

んで、特に友達を作ろうとかせずに、一年目はただ勉強だけして、翌年二人が入ってくるのを待っていた。

部活には入らなかったけど、元が学科特待生だから、べんきょーで成績残していたら教師からはなんも言われなかった。

そのうちクラスの奴らに勉強を教えてほしいとか言われて教えたりして、わずかながら周囲と交流もありつつ、やっぱり俺は二人の入学を待っていた。

勉強だけは続けて、そのうち俺の周りに女子が集まるようになった。

何をするでもないんだけど、近くにいる。

正直邪魔だったんだけど、ここで邪険にしていいのか? と場違いな場所で気にすべきアタマを発揮してしまい、追い払うこともなかった。

りゅうとふゆが入学して、俺が休み時間ごとに一年の教室に行くようになると、さすがにその謎の女子集団もいなくなった。

りゅうにはてめえのクラスでダチ作れよって怒られた。

俺ら以外に友達いねーくせに。

ふゆは相変わらずに更に磨きがかかった美貌で、男女問わず籠絡してたっけなー。

そして、高校生。

また、りゅうとふゆのいない一年が始まった。