「ありがたく受け取っておいたらいいんじゃないか?」
「……いいのか?」
まだ納得出来ない。
「あいつ、二階から飛び降りて来たぞ? 無事なのか? 女子ってそんなに頑丈なのか?」
スタスタ歩いていたけど、飛び降りてきて無傷なのか?
「いやー、たぶん三宮限定の行動じゃないか? 普通は折るだろう」
「……三宮ってなんだっけ?」
人間? 行動力の幅どんなだよ。
「知らん」
「………」
この黒い幼馴染は爽やか笑顔でそう答えた。台詞と顔が合っちゃいねえ。
……これがまあ、後に婚約することになる、ひかるとの初対面みたいなものだ。
子まで授かったが、ひかると子供の命は儚かった。
亡いなったからといって手放したわけではない。今も、ひかると子供の命はいだいている。
俺の一番大事なもの。俺の核だ。
あとは、在義の娘やのちの息子、俺の息子やその伴侶たちを眺め見て、俺は生きるだけだ。
ひかると生きていくために作ったこの店、《白》には遙音という後継者も出来た。猫柳の名まで継いでくれる。
遙音は笑満娘ちゃんとの結婚も決まっている。
引退するにはまだ遙音は甘いから、早々に身は引けねえな。けど、
次が育つのは、いいもんだ。
なあ?