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022_登校3回目
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さて、3回目の登校。
取り巻きはいるが、リーン様は居ない。今日は休みのようだ。今日は静かな学園生活を送れそうだが……。
「そんなに泣くなよ、ロック」
「今日登校しなかったら、オヤジにボコボコにされてたところだったんですよ。これが泣かずにいられますか!」
殺されるからボコボコにされるにランクダウンしているから、ドルベヌスと電信で話した甲斐があったようだな。
席について始業を待っていると、7人の少年が俺のところに来た。今日は静かな日になるのではなかったのか?
「スピナー君だね」
「そうだけど?」
「僕はナルジニア・ベニック。ベニック公爵家の嫡子だ」
「「………」」
沈黙。え、何か反応しなければいけないのか?
「ゴホンッ。僕は自己紹介したのだがね」
「俺のことを知って俺のところに来たんだろ? それで自己紹介する意味あるのか?」
「なるほど、聞いていた通りの人物だね」
何を聞いていたか知らないが、勝手に納得するなら他でしてくれ。
「君がリーン殿下に失礼なことをしたのは聞いている。僕は謝罪するべきだと思うよ」
何を言うかと思ったら、そんなことか。ゴシップがそんなに好きか?
「それがリーン様の考えなのかな?」
「貴族として君の言動は看過できないものだと思うよ」
「貴族じゃなければいいのか?」
「そんなことを言っているんじゃない」
「今、言っただろ? 自分の言動に責任を持てないのはよくないぞ、ベニック公爵家のナルジニア殿」
「くっ……」
こういう奴が現れるのも、全ては金や利権に目が眩んだ国王のせいだ。
はぁ、誰か俺を退学にしてくれないだろうか……。
パパとの約束があるから自分から退学はできないけど、退学させられるのは問題ない。そういう解釈だよね、パパ。
「席についてくださいーい」
担任と副担任が入ってきた。
ナルジニアたちは自分の席に戻ったが、めっちゃ睨まれた。あいつらに睨まれても何も怖くないが、これからつきまとうのだけは止めてくれよ。
担任が名簿を見ながら出席確認。
「えー、次はスピナー君」
「はい」
「はい、居ませ……え?」
今、居ませんね。と言おうとしたよね。
担任と副担任は、俺が居るのを見て目を見開いた。いや、そこまで驚かなくても。
おい、目を擦って二度見するなよ。
「入学式以来ですね、スピナー君」
いい笑顔で言われた。
別に登校拒否しているわけではないんだよ。ちょっとだけやることがあったから、お休みを頂いただけですよ。
「そのようですね、先生」
「もう体調はいいのですか?」
「そうですね」
「あまり無理をしないようにね」
「承知しました」
心配かけちゃった? それは悪いことをしたね。
1限目は戦闘術の授業。訓練場へ移動。
「整列!」
50前後の無精髭を生やした大柄な男性教師が、ドラ声で叫んだ。
戦闘術の訓練は主任教師1人、常任教師3人、副教師2人の6人体制で、無精髭の教師が主任のようだ。
「ん。お前、誰だ?」
無精髭が俺を指差した。
「スピナー・ボルフェウスです」
「ボルフェウス……ああ、あの……ふーん」
あの? なんだよにやけやがって、気持ち悪いな。俺にその気はないからお尻は貸さないからな。
「お前、ずっと休んでいたな。どれほどのものか、見てやる」
ご指名入りましたー。
「ガーナンド先生。相手を」
「私ですか? いいですが、彼はあれでしょ?」
さっきから「あの」とか「あれ」とかなんだよ?
「始めて出席するんだから、実力を確かめるのは必要だろ」
「分かりました」
神経質そうな30後半の教師が。俺を手で呼ぶ。
生徒でもその対応はどうかと思うぞ。
「スピナー君はテイマーだよね。私もテイマーなんだ。テイマーの戦い方の見本を見せてあげるから、使役している魔物を呼ぶといい」
「分かりました」
「うんうん。しっかり勉強するように」
なんか言葉の端々が嫌味ったらしい。気分のいいものじゃないな。
それに俺がクモ使いだからと、バカにしているようだ。それが声に表れている。
俺、こういう奴嫌いだ。
年齢や加護だけで俺の全てを判断する愚か者をどのように処するべきか。
「さて、私がテイムしている魔物を見せてあげよう。サモン!」
魔法陣が展開して、そこから翼つきの青黒いトカゲが現れた。
「ははは。これはBランクのワイバーンだ。素晴らしい威容じゃないか!」
体長は5メートルほどか。通常のワイバーンより少し小さいから、まだ成体になってないんだろうな。
子供を手懐けたか。それとも卵から孵したか。どちらにしろ、まだワイバーン本来の強さはない。
「さあ、君の魔物を呼びたまえ」
そんなに鼻息を荒くしなくても、ちゃんとミネルバを呼んでやるよ。
「ミネルバ」
「キュ」
俺が呼ぶと、ミネルバが俺の影から現れた。
魔法陣なんて不要だ。ミネルバはいつも俺のそばにいる。
「それが君の魔物かね? なんとも不気味な姿ですな。ははは」
不気味? ミネルバのどこが不気味だよ?
黒に赤い斑点がいいアクセントだろ。それにこの可愛らしい鎌を見ろよ、そこら辺の剣などよりも切れ味がいいんだぞ。
てか、テイマーの教師なんだろ? ミネルバがSランクのダークネス・ガラクシャ・ナクアだと分からないのか?
それでよく教師が務まるな。
022_登校3回目
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さて、3回目の登校。
取り巻きはいるが、リーン様は居ない。今日は休みのようだ。今日は静かな学園生活を送れそうだが……。
「そんなに泣くなよ、ロック」
「今日登校しなかったら、オヤジにボコボコにされてたところだったんですよ。これが泣かずにいられますか!」
殺されるからボコボコにされるにランクダウンしているから、ドルベヌスと電信で話した甲斐があったようだな。
席について始業を待っていると、7人の少年が俺のところに来た。今日は静かな日になるのではなかったのか?
「スピナー君だね」
「そうだけど?」
「僕はナルジニア・ベニック。ベニック公爵家の嫡子だ」
「「………」」
沈黙。え、何か反応しなければいけないのか?
「ゴホンッ。僕は自己紹介したのだがね」
「俺のことを知って俺のところに来たんだろ? それで自己紹介する意味あるのか?」
「なるほど、聞いていた通りの人物だね」
何を聞いていたか知らないが、勝手に納得するなら他でしてくれ。
「君がリーン殿下に失礼なことをしたのは聞いている。僕は謝罪するべきだと思うよ」
何を言うかと思ったら、そんなことか。ゴシップがそんなに好きか?
「それがリーン様の考えなのかな?」
「貴族として君の言動は看過できないものだと思うよ」
「貴族じゃなければいいのか?」
「そんなことを言っているんじゃない」
「今、言っただろ? 自分の言動に責任を持てないのはよくないぞ、ベニック公爵家のナルジニア殿」
「くっ……」
こういう奴が現れるのも、全ては金や利権に目が眩んだ国王のせいだ。
はぁ、誰か俺を退学にしてくれないだろうか……。
パパとの約束があるから自分から退学はできないけど、退学させられるのは問題ない。そういう解釈だよね、パパ。
「席についてくださいーい」
担任と副担任が入ってきた。
ナルジニアたちは自分の席に戻ったが、めっちゃ睨まれた。あいつらに睨まれても何も怖くないが、これからつきまとうのだけは止めてくれよ。
担任が名簿を見ながら出席確認。
「えー、次はスピナー君」
「はい」
「はい、居ませ……え?」
今、居ませんね。と言おうとしたよね。
担任と副担任は、俺が居るのを見て目を見開いた。いや、そこまで驚かなくても。
おい、目を擦って二度見するなよ。
「入学式以来ですね、スピナー君」
いい笑顔で言われた。
別に登校拒否しているわけではないんだよ。ちょっとだけやることがあったから、お休みを頂いただけですよ。
「そのようですね、先生」
「もう体調はいいのですか?」
「そうですね」
「あまり無理をしないようにね」
「承知しました」
心配かけちゃった? それは悪いことをしたね。
1限目は戦闘術の授業。訓練場へ移動。
「整列!」
50前後の無精髭を生やした大柄な男性教師が、ドラ声で叫んだ。
戦闘術の訓練は主任教師1人、常任教師3人、副教師2人の6人体制で、無精髭の教師が主任のようだ。
「ん。お前、誰だ?」
無精髭が俺を指差した。
「スピナー・ボルフェウスです」
「ボルフェウス……ああ、あの……ふーん」
あの? なんだよにやけやがって、気持ち悪いな。俺にその気はないからお尻は貸さないからな。
「お前、ずっと休んでいたな。どれほどのものか、見てやる」
ご指名入りましたー。
「ガーナンド先生。相手を」
「私ですか? いいですが、彼はあれでしょ?」
さっきから「あの」とか「あれ」とかなんだよ?
「始めて出席するんだから、実力を確かめるのは必要だろ」
「分かりました」
神経質そうな30後半の教師が。俺を手で呼ぶ。
生徒でもその対応はどうかと思うぞ。
「スピナー君はテイマーだよね。私もテイマーなんだ。テイマーの戦い方の見本を見せてあげるから、使役している魔物を呼ぶといい」
「分かりました」
「うんうん。しっかり勉強するように」
なんか言葉の端々が嫌味ったらしい。気分のいいものじゃないな。
それに俺がクモ使いだからと、バカにしているようだ。それが声に表れている。
俺、こういう奴嫌いだ。
年齢や加護だけで俺の全てを判断する愚か者をどのように処するべきか。
「さて、私がテイムしている魔物を見せてあげよう。サモン!」
魔法陣が展開して、そこから翼つきの青黒いトカゲが現れた。
「ははは。これはBランクのワイバーンだ。素晴らしい威容じゃないか!」
体長は5メートルほどか。通常のワイバーンより少し小さいから、まだ成体になってないんだろうな。
子供を手懐けたか。それとも卵から孵したか。どちらにしろ、まだワイバーン本来の強さはない。
「さあ、君の魔物を呼びたまえ」
そんなに鼻息を荒くしなくても、ちゃんとミネルバを呼んでやるよ。
「ミネルバ」
「キュ」
俺が呼ぶと、ミネルバが俺の影から現れた。
魔法陣なんて不要だ。ミネルバはいつも俺のそばにいる。
「それが君の魔物かね? なんとも不気味な姿ですな。ははは」
不気味? ミネルバのどこが不気味だよ?
黒に赤い斑点がいいアクセントだろ。それにこの可愛らしい鎌を見ろよ、そこら辺の剣などよりも切れ味がいいんだぞ。
てか、テイマーの教師なんだろ? ミネルバがSランクのダークネス・ガラクシャ・ナクアだと分からないのか?
それでよく教師が務まるな。