「神宮家から採取された唯一のDNAは青年のものと一致した。神宮家の事件の容疑者の一人と捜査陣は考えている。青年らは、当時とって中学生だろう」
「……少年事件、ですか。……在義さんは、その青年を暴行した同級生も絡んでいるとお考えですか?」
「むしろ逆だね。現在特定されている暴行事件の被疑者は三人だが、意識不明の青年がその仲間であった、とは言っても、事件の被疑者とは疑わしい」
「……どういう情報を摑んでおいでですか?」
「私の単独行動の捜査だからまだ捜査陣は知らないだろうけど、意識不明の青年と被疑者の三人は日頃つるんでいた四人だったそうだ。クラスで飛び抜けて頭のいい四人だ。しかし神宮家の事件の頃、青年は失踪している。三人の被疑者は変わらず登校していて、青年が行方不明になったことを案じて探していたそうだが、どうしていなくなったかなどの理由は心当たりがないと答えている。場所は神宮の家とは三つも離れた県の中学校だ。行方不明届けが出されて所轄の捜査員が聞き取り調査をしているが、どうしていなくなったのかはわからない、悩み相談などはないと答えている。この調書は吹雪くんに調べてもらったものだから信用できる。――何故、一人だけ消えたか。そして、その一人が暴力事件の被害者になって見つかったか。……ここからは憶測だが、青年が関わった事件は神宮美流子の失踪だけだと考えている」
「………犯行は学友三人が起こした。それを知った青年が、美流子を連れ出した」
「そうかもしれない。今はまだ詰める要素ばかりだがね。青年が意識を回復すれば真相はすぐに明らかになるが……それは尊くんでもわからないそうだ」