……なんか淹れてやるか。
立ち上がったところで、在義に着信の報せが響いた。
「はい。ええ――……本当ですか?」
一気に鋭くなった声。
仕事関係じゃあ、ねえな。
通話を終えた在義は、感情を失くしたような瞳だった。
「また、行くのか」
「ああ。流夜くん、連れて行く」
そのまま店を出て行った。
……報せは、病院のようだな。
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いきなり在義に呼び出された流夜は、その理由がわからず、けれどある程度の察しはついて病院にいた。
数分だけ遅れてやってきた在義は無表情で、更に無言で流夜を病室へ促した。
静かな病室。
機械の音しかなかったそこには医者と看護師がいた。
入って来た在義を見て、静かに礼をして出て行った。
「失礼。意識が戻ったばかりと聞いたが、話せるそうだね?」
在義の声は堅い。
流夜は在義の隣に立って、無言で彼を見下ろした。
開いた瞼。息のために白くなる呼吸器。
……目覚めて、彼はそこにいた。
「華取在義だ。簡単にだが、今後起こるだろうことを説明させてもらう。まず、君は事件の被害者として聴取を受ける。あと三十分もすれば、担当の刑事がやってくるだろう。その後、君は事件の被疑者の一人として扱われるだろう。任意ではない。令状は既に出ている」
厳しい在義の口調に、流夜は惑う。
今在義は、どちらとしてここにいるのだ――?
「ええ……わかりました……」
彼は呼吸をするのも億劫なように喋る。
そして在義を見返してきた。