「うん。それで――……これ言っていいのかなあ。在義さんが話すの、待った方がいんじゃないの?」
吹雪も今の今までその赤子と在義が繋がるとは思っていなかった。
話すのは、正直戸惑っている。
「……いや、話してくれないか?」
流夜は、一足飛びに知ることを選んだ。
……なら、話すけどね?
「嫡男が火をつけた理由だよ。彼が跡取りにと決まっていたのだけど、いきなり当主である父親が、妹の生んだ子を跡取りにすると言い出したかららしい」
「……妹の子?」
「うん。それを本家の跡取りにするなんて、つまりは妹の子ども父親は自身。兄妹の間に生まれた子どもだと言われている。当主の提案は一族に受け容れらず、その赤子は忌まれた上に分家に養子に出された……」
急に、流夜の顔色が悪くなった。
……どうやら、流夜の方こそ今の話の赤子と在義を繋ぐ糸を持っているようだ。
全く正義のない、異端の刑事。華取在義。
……それが、在義を在義たらしめたのか。
「……在義さんなら、自分の出生くらい、知ってるだろうね」
そして、龍生も承知しているだろう。
「ああ……」
「流夜? どこまで知ってるの? 僕も話したんだから、そっちも話してよ?」
流夜は一度口を開いて、閉じた。
そのまま少し俯いてから口を動かした。
「……呪術系の家で、本家にいられない理由が出来て、養子に出された。本家再興のために在義さんを戻す話もあったらしいけど、分家の両親が護ってくれた、と……。在義さんも、本家再興なんかに興味はないって言ってた」
「……在義さんらしいね」
あー……納得、出来ちゃうのが嫌だなあ。
在義の両親が実の兄妹であったと聞いても、驚きが少しもない。
むしろ、なるほど、と思ってしまった。
「なら、在義さんは天龍には近づけないね。確かその赤ん坊は、天龍自体から放逐されているから」
「……在義さんも、咲桜を天龍に、俺に連れて行ってくれって言ってた」