「当り前でしょう! って言うか絶対そうなってほしいよ! そうなってほしかったよ! 夜々子母さん! って――呼んでいいの?」

咲桜の真っ直ぐな問いかけに、夜々子は照れたように肯いた。

「ええ。本当に、咲桜ちゃんのお母さんよ」

「流夜くんと企んでよかったー! ありがとうー!」

ガッツポーズの止まらない、興奮している咲桜の頭を流夜は無理矢理押さえた。少しは落ち着きなさい。

「ご結婚、おめでとうございます」

「あ! おめでとうございます! よろしくお願いします!」

流夜が言うと、慌てて咲桜も倣った。

「うん。ありがとう」

「ありがとう、咲桜ちゃん、流夜さん」

「それからもう一つあるんだけど……」

「なにっ?」

咲桜が勢い込んで訊くと、在義は言いづらそうに視線を泳がせた。


それを見た夜々子がにこやかに手を動かした。

「咲桜ちゃんのね、妹がいるの。ここに」

「………」

「―――」

さすがに流夜、そこまで考えていなかった。

いきなり過ぎて、何と言ったらいいのかわからない。

隣の咲桜も今度は発狂せずに、ぽかんとしてしまった。

やおら立ち上がり、自分のお腹に手をあてる夜々子の隣に迂回していった。

ソファの下に膝をついて、夜々子を見上げる。

「赤ちゃん?」

「そうよ。在義兄さんの、二番目の子」

「女の子なの?」

「うん。咲桜ちゃんの妹よ」

妹、赤ちゃん、女の子。

咲桜の頭の中で文字が繋がったようだ。

「姫――――――――!」