流桜子を前にして、るなはびくりと肩を震わせた。
背丈も同じ頃の、同い年の女の子。
流桜子はにっこり笑う。
「るなちゃん!」
るなの手は、頼が土下座したときに放していたので、流桜子はるなの両手を握った。
「おかーさんっ、流桜のおともだちっ」
夜々子に向かって言った流桜子に、るなはびっくりした顔で何度も瞬いている。
流桜子の中では、もうるなは友達らしい。
「頼おにいちゃんの、いもうと? こども?」
「どっちかっていうと妹かな。年齢的には」
頼が膝を折って、目線を低くする。
「流桜だよっ。よろしくねっ」
はつらつと喋る流桜子に呑まれてしまったようなるなだが、ややおおいてからこっくり肯いた。
それを見た咲桜、流夜に耳打ちした。
流夜も肯き、二人は夜々子と在義に短く話した。
「お前が子どもを育てる、ねえ……」
話が終わった咲桜が呟く。
「頼、言って置くけど、犯罪的なことになったら、わんさかいる捕まえる側の方総動員するからな?」
「肝に銘じておきます」
今度は九十度に腰を折った頼。
捕まえる側の皆さんがそれぞれ言っている。
「咲桜ちゃん、ついに俺まで使うようになったか……」
「何言ってんの。咲桜は神宮を使える子よ? あんたなんて楽に動かせるわ」
「僕的には咲桜に使われるのは大歓迎だけどねえ」
「あたし的には、神宮の恋人になったより春芽の親友になったことの方が驚きだわ」
幼馴染たちの反応。
「娘ちゃん、自分の結婚式にすげえこと言うな」
「そりゃあ、流夜くんを落とすくらいの自慢の娘だからね」