「んー? なんとなく流夜の方にも似てる気がする……んだけど……」
旭葵の言葉はだんだん小さくなった。
桃子が美流子であることは、公にされているわけではない――
「俺の戸籍上の姉だしな」
「そっかー………え?」
「ちょっと、流夜くんっ」
慌てたのは在義だった。
「在義父さん、いいのいいの」
咲桜は咲桜で、全然動揺していない。
「姉って――それじゃあ流夜と咲桜って――」
「言ったろ、戸籍上って。養子になって姉になった人だから、真実姉弟ではない」
「びっくりした……叔父と姪なのかと思った……」
人のいい旭葵は、本気で心配したようだ。
「まあ、身内内での養子縁組だから、咲桜と血縁になるのは否定出来ないけどな」
「そうなんだ……」
「流夜くん、話してしまっていいのか?」
在義が渋い顔をするが、流夜は動じない。
「この中で知らないのは旭葵だけですから。友人続けて行くつもりですから、黙っていても釈然としません。旭葵、公然と話されては問題があることだから、黙っていてくれるか?」
「あ、ああ」
「ちょ、ちょっと待て神宮! 弥栄が友人なら俺はなんだ⁉」
琉奏が食いかかって来て、流夜は眉根を寄せた。
琉奏が慌てる意味を理解するところの流夜の幼馴染二人は、小さく吹き出している。
「宮寺? 知り合い」
「弥栄より前の知り合いのはずだけど知り合い止まりなのか⁉」
「それ以外に何がある。同業者とも言えんだろう」
お前は遺伝子学だろう、とトドメが刺された。
琉奏が一気に哀愁を帯びる。