「こことおばあちゃんっ、なおもおねえちゃんみたいなのきたいっ」

咲桜が『箏子おばあちゃん』と呼んでいるのを聞いて、流桜子もそう呼びたいようなのだが、まだ上手く呼べずに『こことおばあちゃん』になっている。

「あらあ。もう流桜もお嫁に行っちゃうの?」

「夜々子、少しフォローしてやれ」

在義の腕から流桜子を取ったのは龍生だった。

「りゅうせいおじちゃんっ」

「よお、流桜。お前のお父さんがダメージ喰らってるから、あと二十年くらい待ってから言ってやれ」

「………龍生」

凹んだ在義が、低い声で相棒の名を呼んだ。

ドアがノックされた。

「咲桜―、あたしたちも入ってもいいかなー?」

笑満の声だ。

咲桜が首肯すると、笑満と遙音が入って来た。

咲桜を見て、途端に目を輝かせる笑満。

「咲桜―! 素敵っ! 綺麗すぎっ! あたしの天使~っ」

「笑満ちゃん落ち着いて」

一気に咲桜大すきゲージが振り切った笑満を、遙音が必死に押さえている。

「おおー、花嫁さんよくお似合いで」

「さすが咲桜。着こなしてるね」

「神宮には勿体なさ過ぎるわよ」

続けて、降渡、吹雪、絆が控室に入って来た。

「来てくれて、ありがとうございます」

咲桜が、頭を下げる。

「当然でしょ。それで、肝心の花婿は?」

「準備出来たらこっちへ来てくれることになってるよ」

咲桜が吹雪に応える。