「―――――」
「……丈は、お前に合っていると思います。好みは訊かずに作ってしまいましたが、流夜さんも在義も、夜々子も、お前にはこの形が良いと言うので――
「師匠! なんでこんなすごいものあるんですかーっ! びっくりし過ぎて心臓止まりました!」
「止まったんですか⁉ 止まりそうだったのではなく⁉」
箏子が仰天していた。先に咲桜が仰天した理由は――箏子が見せたそこには、純白のウェディングドレスがあったのだ。
「……お前には、嫌な思いもさせてしまいましたからね。わたくしからの贖罪です」
落ち着いた咲桜に、箏子が気恥ずかしそうに言う。
「母さん、咲桜ちゃんのお式がまだ先だって知って、なら自分が作るって言いだしたのよ。在義兄さんや流夜さんに、いくつも型紙見せて、どれがいいかって」
「夜々子!」
「ちゃんと言って置かないとまた誤解が生まれるわよ? さっきも薙刀でヘンな方向に話行きそうだったじゃない」
「っ……」
夜々子に言い負けた箏子。
咲桜は隣の流夜を見上げた。
「うん。咲桜には、出来るまで秘密って念押されて。箏子さんなら、咲桜に一番似合うものを作ってくれると思ったから」
「~~~またはめられた~」
「咲桜、泣く前に言うこと、あるだろ?」
流夜に言われて、咲桜は箏子に向き直った。