「んじゃあ、三人とも頼めるか?」

「いいよ」

「構わない」

「遙音の結婚とか、なんかすげーなー」

三者三様の返事を受けてから、遙音は笑満の方を見た。笑満が肯く。

「咲桜はあたしの方の席にいてもらうことになるけど……大丈夫? 先生と一緒に遙音くんの親族席にいる?」

「なんで?」

「なんでって……あんときみたいになるよ?」

「あ」

笑満の心配に思い至った咲桜は間抜けな返事をしてから顔を覆った。

卒業の直後、流夜とは咲桜は同棲をはじめ、二人が出逢ったとしている五月二十日に入籍、と順調だったのだが、流夜が元教師であった余波も受けていたのだ。

大学進学などで地元を離れてしまう前にクラスの女子たちで集まろうという話があって、咲桜は勿論参加した。

何も考えずに。

質問攻めに遭った。

流夜が教師を辞める前に、咲桜とは警察官である父を通して知り合った、という無難な形に遙音がしてくれていたのだが、それよりも前に、咲桜は彼氏がいると公言させられてしまっていたのだ。社会人の彼氏が、と。

そりゃあ質問攻めに遭うわな……、と、咲桜と笑満はその帰りに《白》で嘆いたのだ。

正直に全部を話すことは不可能だったので――流夜の家族が亡くなった理由も外聞のいいものではないから、出来るだけ他人には話したくないし、咲桜と流夜の関係は現在知っている人以外には絶対に話す気はない――、当たり障りなく、父を介して知り合ったのは本当で、父の部下の策略で婚約させられそうになっていたとか、そのうちに好きになってしまったとか、そういう風に説明したのだった。

「あの時はみんな納得してくれたけど、たぶん今の先生見ても、騒ぐ子いそうな気がする……と言うか、あの三人が並んでるとかすごい絵面だと思う……」

うん、と咲桜は俯いて顔を覆ったまま肯いた。

見た目が良すぎる三人なので、注目されるのは必至だろう。

更に経歴も現職も異色だ。一言、目立つ。