「流夜くん! 見て見て!」

帰ってきた流夜に抱き付きついでにスマートフォンを見せた。

「ん?」

流夜は当然抱きしめ返し、咲桜の顔が見えるように少しだけ離れた。

「今日ね、笑満と逢ってきてね、結婚するんだって! 遙音先輩と!」

写真が写されたそれには、笑満が左手を見せているものだった。

ちなみに咲桜が後ろから笑満に抱き付いてので、下手したら恋人写真にしか見えない。

相変わらず仲よしだ。

「ああ。みたいだな」

「知ってたの?」

「俺んとこにも連絡あった。遙音から」

「あ、そっか。そうだよね。よかったなー。二人とも」

「詳しいこと話したいから、次の土曜に《白》に来てほしいって言われてるんだけど、咲桜の都合はどうだ?」

「土曜日なら、私も休みだよ」

「ん。じゃ、一緒に行こう」


+++


この春、笑満は大学を卒業した。

大学では心理学を学ぶ傍ら、一年早く大学生を終えて正式に『白』を継いだ遙音のサポートをするべく、料理の勉強もしていた。

卒業後は『白』一本にするか悩んだのだが、『白』を利用するのは笑満が知るよりも深い闇が関わってくる人たちが多い。

大学の先輩との縁もあって、城葉研究学園都市の中の一つの研究所に籍を置くことになった。

咲桜は高校卒業と同時に桜台法律事務所に入ったので、社会人としては咲桜の方が先輩になる。

「咲桜―! 先生も来てくれたんだ!」

「笑満―! おめでとう!」

『白』に入るなり、ぎゅむっと抱き付く様子は咲桜が笑満の彼氏と言われていた頃から変わらない。

「降渡は?」

吹雪はもう席にいたので、流夜は座る遙音に訊いた。