「まあ、今まで通りのことするために日本中駆けまわってたかな。ここに――城葉犯研にいると、どうしても咲桜のこと見たくなりそうだったから、むしろ一か所に居続けないようにしてた」
「……ごめんなさい?」
「そうじゃないって。……必要だったって思ってる。どうしたって咲桜以外は無理だって、思い知るために」
「……同じく」
「責めたかったら今のうちにどーぞ?」
「……ううん。さっきぶちまけちゃったし、もう大丈夫。それより、……ありがとう。帰って来てくれて」
「……当然だろ。それと、松生と日義も置いて来ちゃってごめんな? 連絡しないで大丈夫か?」
「笑満がまた連絡するって言ってたし、頼とは日本発つ前に逢うし。今はこっちのが大事です」
「日義も思い切ったことをするよな」
「聞いてるんだ?」
頼は、流夜が留学していた大学へ入る。
学部は違って、報道系に進みたいそうだ。
「俺が少し城葉にいたときに研究所に来て進路相談受けた。そのとき咲桜の写真もらった」
「何やってんの⁉ 流夜くんもあのバカも! そんなことしてる余裕あるなら流夜くんの写真も撮って来いよアホー!」
わーんと、流夜に泣きついた。
頼の扱いも変わってないんだなあ……。
「これからいくらでも撮ってもらうから」
「ほんと?」
「ああ。咲桜も一緒に」
「あ……」
家族写真。
三年前、頼と流夜の間で交わされた約束。
「そうだね」
家族になるのだから。