「う……な、なに?」

恐る恐る答えると、頼が頭を下げた。

「俺と友達に戻ってください」

「さっきの今で⁉ ふゆちゃん何を言った⁉ そんで友達切られたの私の方だよね⁉」

咲桜が騒ぐが、吹雪はくすくすと笑みを噛み殺すだけだ。

「まあ……頼にも咲桜は切れないってことじゃない? ねえ? 笑満ちゃん」

「……あたしに振らないでください。二人の友情は複雑なんですから」

笑満の方こそ複雑な顔で応える。

「やっぱ俺、咲桜がいないと生きていけない」

「ど、どんだけ私重くなってるんだお前の中で! 勝手にヘンな格付けするな!」

「別に流夜くんから奪おうとかしないから」

「されるわけあるか!」

「咲桜のこと、親友として慕っていきたい」

「それはありがとうだがいいのか⁉ 私に都合よすぎなんだろ⁉」

「あ、もうなんか大分前から咲桜のことは吹っ切れてるから安心して」

「じゃあなんで今告白した⁉」

「流夜くんが傍にいないから、告(い)うくらいのけじめはつけたいなあ、と」

「お前の考えさっぱりわかんないよ! 喉痛いし!」

咲桜の声がかれてきた。

「簡単に言うと、咲桜がすきだったのは本当。流夜くんに敵わないってわかってたのも、ほんと。で、咲桜のあきらめがついてたのも本当。一応のけじめとして、告白だけはしておきたかった。それだけ」

「そ、それで……友達辞める気だったのも本当……?」

「あ、いやそれは咲桜の売り言葉に買い言葉」

「私が言ったからだったの⁉ 言わなきゃよかった……」

「ノリでした」

「それで……お前の本心は、どれなわけ?」

「報道カメラマンになろうと思ってる」

「いつ進路相談のフリになってたの⁉」

「言ったじゃん。咲桜のことは吹っ切れてるって。友達の関係がどうなるかは、これから次第じゃん。ってわけで、俺は――流夜くんや吹雪さんの側を伝える人になる。って、もう決めた。誰に反対されても曲げない」

「……お前が自分を曲げないのはよく知ってるよ。……すきにしな。でもね」

「うん?」

「死ぬな。仕事に殉じることを美徳とかは、お前は考えるんじゃない」