「そこはあいつなりのけじめと思って赦してあげてよ。僕でよかったら郵便するよ?」
「お願い致します」
献上するように、一番に作った包みを差し出した。
流夜に届くことが諦めきれずに持って来ていた。
「まー、現在流浪中の流夜だから、近いうちに必ず渡せるとは約束出来なくてごめんなんだけどね?」
「うん。……届いてくれるだけで、十分」
本当は、直接渡したい。
でも、今は逢わない時間の中。
一つ頭を振る。
「頼。お前のもあるよー」
遙音の説教が終わった頼に、チョコを渡す。
頼は受け取ったそれを無言で眺めている。
「なに? ……別にもう爆発させてないよ」
じーっと微動だにせずに見ている。
頼ってチョコ苦手だっけ?
「……これって、友チョコ?」
「当り前でしょう。ふゆちゃんだって友達だもの」
現在、吹雪と咲桜は親友と公言するほど仲良しになっていた。
咲桜が答えると、頼はゆっくりと咲桜を見て来た。
「なら、受け取れない」
「……は? なんで。チョコ駄目なら――」
「そうじゃなくて。……今まで何度言っても信じてもらえなかったけど……俺は、咲桜がすき。流夜くんがいないから今言う、とかじゃなくて、俺は咲桜がすきだから。……だから、友達、としては、受け取れない」
「…………」
咲桜、数秒黙ったあと、こてん、と首を傾げた。
「頼が? すき、なの? 私?」
「うん。たぶん、ずっと前からすきだった」