「馴染むまで? いつ?」
「……在義さん」
恨みがましい目で見上げると、在義は軽く笑った。
「まあ、流夜くんいじめはこのくらいにして。邪魔なわけないだろう。うちの家族になるんだから」
「………」
「君は本当、『他人(ひと)』が苦手だよね。一度自分の中に入り込んだら、とことん甘やかすだけなのに」
「……俺ってそうですか?」
「私にはそう見えているよ。咲桜と斎月くんがいい例だろう」
「……咲桜には怒ったことありませんが、斎月には怒鳴ってしかいない気がするんですが……」
あのバカには振り回されてばかりだ。
主咲、どうにかしろよ。お前の女だろうが。
「寝惚けているのか? 君が怒鳴るのは斎月くんだけだろう」
「………」
「怒るのは期待しているから、とは一般的によく言うね」
在義はクスリと笑った。
「夜々ちゃんには私から言っておくから、今日はこっちに来なさい。いいね?」
「……はい。お邪魔します」
「堅苦しいねえ」
在義はクスクス笑いながら部屋を出て行った。
在義の課題を二年前にクリアしてはいるが……帰る場所が華取の家、というのは相も変わらず緊張してしまう。
+
「おかえりなさい!」
「……ただいま」
華取家のインターホンを押すなり咲桜が飛び出して来た。
門扉のところにいた流夜は少し面喰った。