「うおう! ごめんなさいっ!」
「元気そうだな。大丈夫か? やっぱりもう少し余裕持った方が――
「あああの! そういうわけじゃなくて! ……なんてゆうかですね……その、感動? しちゃって……」
「は?」
「だってですよ! 流夜くんの方からすれば『自分から逢いに行ける』だったかもだけど、『私から逢いに行く』方法はなかったんだよ? それが急に帰って来て、すぐに結婚まで話が繋がって……き、昨日の感動の続きが今来た……」
ボロ泣きしたあれか。
「………」
それは自分の所為だ。ごめん。
自覚があった。
確かに流夜の方が、自由度があったと思う。
「……在義さんたちのこともあるから、式は先に考えるにしても籍は――、……神宮の苗字に、なってくれるか?」
「っ、…………ぅぁ……はい…………って言うか今そういうこと言わないでよー。さっきから涙ばっか止まらないよー」
「はは、ごめんごめん。日にちはいつがいいかな。誕生日とか合わせる人が多いみたいだけど、咲桜も俺もまだ先だしな」
「あ、えーとね……………」
また固まった。
どうやら、
「思いつくの、あるのか?」
「えっ、あ、うん。……五月二十日、は? お、お見合い? の日……」
「ああ。いいかもな。……愛子に仕組まれたってのが難点だけど」
「流夜くん、マナさん苦手なの?」
「……愛子を好きなのなんて咲桜ぐらいのもんだ」
「夜々さんも好きだよ!」
「……どちらにしろ、咲桜たちのが奇特だ。社会出ればよくわかるよ」
「そうなの?」
「そうだよ。――で、五月二十日に入籍、でいいか?」