「犯罪って言われんのがわかってたから卒業まで待ったんだが」

流夜が返すと、それぞれから反論があった。

「自覚あるんですか!」

「高校生嵌めてくるとはさすが室長」

「彼女さん高校生には見えないんですけど」

「まさか室長がロリコンだったなんて……」

「学生さん連れてくるなんて、お父さんから十発くらい殴られましたかっ?」

「室長が二日も休んだおかげで仕事大変だったんですけどー」

「あれ? 室長って前は先生だったんですよね? 確か高校の……」

最後の一人の呟きに、また廊下には変な緊張が走った。

「だから?」

平然と受けた流夜。

『だから犯罪だって言ってんですよー!』

非難轟々だった。


+++


「うう……私出入りし辛くなっただけじゃん……」

車に戻った咲桜は泣き言を言う。

所員から散々なことを言われても、流夜平然としていた。

どんだけ神経図太いんだこの旦那様は。

「いつもあんな風に賑やかだから気にする事ない」

「気にするよ! 旦那様の同僚の方だよ⁉ 在義父さんにとっての龍生さんみたいな人だよ!」

「あそこと比べんのは違うだろ。二人は学生の頃からの知り合いなんだし」

「そうかもだけど……うう……入りづらいよ……」

「大丈夫。余程のことなきゃ呼ばないから。変人の巣窟だから」

「……流夜くんもその一員だと?」

「否定はしない。自分がまともだなんて思ってないし」

「……自分で、自分のことまともだって言う人よりはマシかと思うよ」