「………龍生に笑われる」
「……格好ですか? 笑いそうですね」
花婿衣装?
「と言うか、龍さんなら笑い飛ばして済ませるでしょう」
笑う、ではなく、笑い飛ばしてくれる。
「そうだろうけどね。そっちはどう考えてるんだ? 父的には絶対娘の式には出たいよ」
「俺らの結婚の前にご自分の結婚と出産をぶち込んでおいて何言うんですか。順番的に、子どもも生まれるそちらがお先でしょう」
「……俺たちのあとに式を挙げると?」
「そうですね……咲桜の花嫁姿は絶対見たいです。日義を無理にでも帰国させて写真撮りまくってもらいます」
「同感だ。アルバム十冊くらい作ろう」
ガシッと手を握り合う婿とその義理の父となる人だった。
それを見ていた咲桜と夜々子。
「なんだか浮き沈みが激しい二人ね」
「父さん、また流夜くんいじめてるんじゃ……」
心配そうに言っているが、原因はこの二人だ。
「……お前たちはヘンな方向に鈍感ですね」
一人だけ、二人の浮き沈みの理由がわかっている箏子だった。
「ねえ、名前は決めてるの?」
咲桜が、夜々子の腕に抱き付きながら訊く。
「まだなのよ。在義兄さんには、桃ちゃんが『咲桜』ちゃんってつけたみたいに、母親につけてほしいって言われてるんだけどね?」
「……在義父さんにはセンスを求めない方がいいよね」
「そうね。六十度方向にずれてるものね」
斜め四十五度でないところが問題な在義のセンスだった。
娘と継母は神妙な顔で肯き合う。



