「十三だって、全が集めてなくちゃバラバラだったわけだし」

「……そうですね。あいつらも相当特殊です」

「――ああ、それとね?」

「はい?」

在義が少し沈んだ。

「さっき咲桜に脅されたんだけど……」

「娘になんて目に遭わされてんですか」

またかよ咲桜。

在義の気分を上下させるの、得意過ぎるだろ。

「夜々ちゃんの花嫁姿、絶対見させろって……。ウエディングドレスと白無垢と……。じゃなくちゃ生まれた妹は自分が掻っ攫って育てるって言いだした……」

在義、頭を抱えた。

「………」

流夜も頭を抱えた。

やっぱりかお前……。流夜の一番の敵は、嫁の継母と妹か。

「流夜くんが反対するって言ったら、事後承諾で許してくれるって言いきられたよ……」

「許しますが」

「君たち自分らの境遇と和解し過ぎだろう」

平坦な瞳で怒られた。

まあ確かに、幼い頃に拉致誘拐されたのは流夜の戸籍上の姉だ。

未だにその問題を抱えている心だったら、咲桜からそんな言葉は出なかっただろうし、流夜も、許しますが、なんて言えなかっただろう。

一つずつ、問題は溶けていると願いたい。

「となると、式挙げるしかないんだよねえ……」

「式、お嫌だったんですか?」

「トシを考えなさい。夜々ちゃんは絶対可愛いから咲桜に賛成なんだけど、俺は明らか色々問題あるだろう」

「そうですか? 五十で初婚とか、ザラじゃないですか」

「俺は一応再婚扱いになるんだよ。何が嫌って……」

「なんですか?」

在義、また落ち込んだ。