「なんかしっかりした子だねー」
「頼が育ての親になっちゃったからね」
『説得力ある』
異口同音に返された。
るながきょろきょろしているので、咲桜は身を屈めた。
「るな、どうかした?」
「あの、なおちゃんはいないんですか?」
あ、と咲桜は思った。
頼はちゃんと説明しなかったようだ……。
ものぐさは相変わらずか。
「うん、今日は私の友達の結婚式だから、流桜はいないんだ」
「……そうなんですか……」
目に見えてしょげるるな。
同い年なのもあってか、流桜子はるなの最初の友達だった。
「るな、今度、流桜と笑満とお出かけしよっか。頼には内緒で」
咲桜が口元に一本指を立てて言うと、るなはぱあっと顔を輝かせた。
「おにいちゃんには内緒ですか?」
「うん。四人だけで行こうか」
「いきますっ」
にこにこするるなの頭を軽く撫でる。
たまには頼にも一人の休日をやってもいいだろうという咲桜の判断だ。
咲桜の結婚式の日と前後してるなを引き取って以来、頼はマジメにるなの面倒を見ていた。
あのぐーたらが……と、笑満と二人でこっそり涙したものだ。
人は成長するのだな。
「待て頼! てめえまだ暴走癖治ってねえのか!」
『………』
すでに列席者の揃っていた式場に、外から遙音の怒声が響いた。
式場はしーんとしてしまった。
(……またなんかやったか……)
咲桜は片手で顔を覆った。
笑満の従妹にあたる子にるなを頼んで、式場の外へ駆けだした。
その姿を見て、
「やっぱり咲桜って……」
「『日義の飼い主』だね……」
「あれが遙音も恐れた日義の『飼い主』か……」
「先生いて……咲桜、よかったね……」
「うん……先生くらいじゃないと無理めだよね……」
頼の評価は、高校時時代から一歩も成長していなかった。



