朧咲夜-番外編-【完】


「い、生きてます……」

「もう死にかけてんだろ、お前。咲桜、悪い。先に遙音んとこ連れて行ってくる。龍さんに怒られれば無理もしないだろうから」

「わかった。気を付けてね」

この状態で龍生の雷は、受ける側としては相当なものだろう。

降渡に肩を貸した流夜と、吹雪も先に控室へ向かった。

残された咲桜とクラスメイトたち。

なんだかもの凄いものを見た顔をしている。

好奇心のカタマリだ。

……笑満、先に予言してくれていて、ありがとう。

「さて」

くるっと、みなに向き直る咲桜。

「質問、なんでも受け付けます。私も腹括った」

――咲桜が息つく暇もないほど、みんなクエスチョンマークだらけだったらしい。

今朝のごはんのメニューまで問い詰められた。


+++


「頼、こっち」

遅れてやってきた頼は、いつも通りカメラを構えている。

「ごめん、まだ始まってない?」

「少し時間あるよ。るな、今日は私と一緒にいようね。お兄ちゃん、お仕事だから」

「はいっ」

咲桜はしゃがんで目線を合わせるように言った。

頼が手を繋いで来たのは、咲桜の結婚式のときに連れて来た少女、草凪るなだ。

頼は大学を終えて、一応日本へ帰国した。

るなを育てるために、しばらくは場所を日本に限定して報道記者として活動している。

るながもう少し大きくなって一緒に海外へ行けるようになれば、仕事範囲も拡大して一緒に連れて行くつもりだと言っていた。

るなは日系ではあるが北欧系の血も混ざっているようだ。

面差しは東洋系だが、雪のように白い肌と、色素の薄い目をしている。

髪は黒に若干茶色がかっている。

流桜子と同い年なので、今年五歳になる。

「さおおねえちゃん、えみおねえちゃんにもあえるんですか?」