「……反対、する理由がないね」

「そうね。咲桜ちゃんも、神宮さんがいたから、仕事のことも真剣になったのでしょう? わたしとしても、神宮さんがいい影響を与えてくれていると思うわ」

在義に、夜々子が継いだ。

それを聞いた流夜は、改めて思った。

夜々子があっさり認めてくれた……この二年の咲桜の頑張りの結果だと。

「夜々ちゃんと結婚してもすぐに咲桜が嫁に行ってしまうのは淋しいけど、二人にはそれがいいんだろう。けど、今までのことこれからのこと、普通よりはかかる問題は大きいだろう。それを覚悟出来るのかい?」

「はい」

「勿論です」

同じ肯きに、在義は軽く息を吐いた。

この二人は、どこまでも同じ。

だからこそ寄り添って自然に見える。

「流夜くん、咲桜のこと、よろしく頼む。咲桜も、流夜くんの妻は大変だよ? だから、がんばりなさい」

「「――はい」」

一緒にいるためのがんばりなら、いくらだって。

「さて――咲桜と流夜くんも、今日くらいはここにいられないかな? 四人家族になるのも、今だけだし」

貴重な時間だよね。

「そうですね。お邪魔してもいいですか?」

「邪魔じゃないよ。流夜くんは私の息子なんだし。――どうせすぐに、二人で暮らし始める気でいるんだろう? 別れではないけど、卒業の日という意味も含めて、今日は家族で過ごしたいと思うんだよ」

とてとて、咲桜が在義の前に廻った。

「父さん――ごめんなさい」

「うん? 今度はどうした?」

「実はその……流夜くんと結婚を許してもらうっていう、この前のときに約束した条件、まだクリアできてない」

「え? ああ……気にしなくていいよ。婿いびりのネタにするから」

「……流夜くんいじめないでください」

「どうかなあ?」