朧咲夜-番外編-【完】


「うん。あたしが咲桜と出逢ったことが運命だったら、遙音くんにまた逢えたのも、運命でしょ? 咲桜と友達じゃなかったら、先生とは関わらなかったと思うから」

「……………」

五秒ほど黙った遙音、笑満の肩に額を押し付けてきた。

「は、遙音くん?」

「………ありがとう」

「え? こ、こちらこそ?」

顔は全然見えないけど、少しだけのぞく耳が真っ赤だった。

「あのさ」

額を押し付けたまま、遙音が言った。

「うん?」

「喧嘩……とか、しても、ちゃんと仲直りしようね」

「そうだね。せっかく一緒にいるのに、勿体ないもんね」

「俺に怒ったことがあったら、ちゃんと言ってほしい。ためこまないで、全部言ってほしい」

「あたしも、思い込みで言っちゃうこととかあると思うから、遠慮とかしないで言ってもらいたい」

「あと、笑満ちゃんが男といたら、俺はふつーに妬きます」

「……頼は?」

「あれは……なんかいいや。除外しておく」

「咲桜は?」

「なんで男って言ったのに咲桜が出てくんの」

「遙音くん、いつも咲桜のことで慌てるから……」

「咲桜には妬く」

「……男子の頼は大丈夫で、女の子の咲桜はダメなの?」