流夜と咲桜は、見る人から見れば、一緒にいてもいい関係じゃないかもしれない。

二人の間にわだかまりや後ろめたさがないのは、傍にいてよくわかる。

お互い、引け目を感じる時間は終わったのだ。

自分や頼は咲桜のために、遙音や吹雪、降渡たちは流夜のために、二人が一番望んでいることを支えた。

父である在義が認めていたことが一番大きいかもしれないが、誰も、二人が一緒にいること、一緒になることを反対しなかった。

二人の結婚式のとき、ほぼ部外者といっていい弥栄旭葵も、咲桜と流夜は血縁だと知った。

詳細を知らない所為もあるだろうが、そのときの旭葵ですら、反対は言わなかった。

運命は、二人を引き離した。

それでも咲桜と流夜はお互い以外を見なかった。

離れた手を、もう一度繋いだ。

咲桜と流夜が離れていた二年は、過去を解かすために必要だったのかもしれない。

「天命……」

二人は、運命じゃない。

それなら、

「……神様が、折れたのかな」

「あいつらに? かもしれないね。あんだけいちゃついてりゃ神様も呆れるよ」

遙音は、はっと呆れた笑いをもらした。

過去の流夜を知らない笑満としては、咲桜が女の子らしくなる人と出逢えてよかったなーという感覚だけだ。

咲桜は、色々と自分に我慢を強いて来たから。

でも、

「……あたしと出逢ったことは、運命であってほしいな」

「え? さ、咲桜と笑満ちゃん……が?」

言いながら顔色を悪くする遙音。

笑満は心の中で苦笑した。

本当に遙音は、こういう発言には敏感だ。

そう言えば流夜も、『咲桜のことでは女にしか妬いたことがない』と言ってのけていた。

咲桜、あんた厄介な……むしろ奇怪な運命持ってるよね、ほんと。