光麗国では皇城内で身分を示すために官吏は腰帯をするのだが、それも天佑が貸してくれたので疑われることもなかった。
書物庫から五分ほど歩いただろうか。天佑が立ち止まる。
「わっ」
よそ見をしていた玲燕は正面から天佑の背中にぶつかり、顔を打つ。
「痛たた……」
「何をしている。ちゃんと前を見ろ」
「天佑様が突然立ち止まるからではないですか」
呆れたような眼差しを向けられてムッとした玲燕は抗議する。
「到着したから立ち止まったんだ。ここだ」
「え?」
玲燕は天佑の向こう側に目を向ける。
回廊は行き止まりになっており、一番端はちょっとした東屋のようになっていた。周囲には人工の池があり、水の中を鯉が気持ちよさそうに泳ぎ回っている。池の向こう側にはちょっとした庭園があり、高さ三メートルほどの木が植えられているのが見えた。
「あちらの庭園にはどうやったら行けますか?」
「庭園? 見ての通り、この池には橋がない。向こう側に行きたかったら、回廊の元来た道を戻ってぐるりと回らないとだな」
「あの建物はなんですか?」
書物庫から五分ほど歩いただろうか。天佑が立ち止まる。
「わっ」
よそ見をしていた玲燕は正面から天佑の背中にぶつかり、顔を打つ。
「痛たた……」
「何をしている。ちゃんと前を見ろ」
「天佑様が突然立ち止まるからではないですか」
呆れたような眼差しを向けられてムッとした玲燕は抗議する。
「到着したから立ち止まったんだ。ここだ」
「え?」
玲燕は天佑の向こう側に目を向ける。
回廊は行き止まりになっており、一番端はちょっとした東屋のようになっていた。周囲には人工の池があり、水の中を鯉が気持ちよさそうに泳ぎ回っている。池の向こう側にはちょっとした庭園があり、高さ三メートルほどの木が植えられているのが見えた。
「あちらの庭園にはどうやったら行けますか?」
「庭園? 見ての通り、この池には橋がない。向こう側に行きたかったら、回廊の元来た道を戻ってぐるりと回らないとだな」
「あの建物はなんですか?」