「なんのためにお前を幽鬼が出ると噂の菊花殿に入れたと思っている」
「幽鬼が出ると噂があるから人が近づかないからでは?」
玲燕は首を傾げる。
「それもひとつの理由ではある」
天佑は部屋に面した中庭に出ると、井戸の横にある石灯籠の前に立った。両手で石灯籠を押すと、それはゆっくりとずれた。その下にはぽっかりと空洞が開いている。
「……これは、秘密通路でございますか?」
玲燕は真っ暗な暗闇が広がる穴の入り口を見る。
万が一に備えて皇帝が住む場所にはいくつかの秘密通路があることは公然の事実だが、一体どこにあるのかは完全に伏せられている。これは、後宮の中にあるいくつかの秘密通路のひとつなのだろう。
「もしかして、菊花殿に幽鬼が出るという噂は意図的に?」
玲燕は自分の近くに戻ってきた天佑に尋ねる。
「ここで人が死んだというのは事実だ」
「……聞かなければよかった」
「怖いのか?」
天佑はにやりと笑い、意味ありげに玲燕を見返す。
「残念ながら、全く怖くありません。」
「なんだ、つまらんな」
玲燕がしれっと答えると、天佑はすんと鼻を鳴らす。
「…………」
「幽鬼が出ると噂があるから人が近づかないからでは?」
玲燕は首を傾げる。
「それもひとつの理由ではある」
天佑は部屋に面した中庭に出ると、井戸の横にある石灯籠の前に立った。両手で石灯籠を押すと、それはゆっくりとずれた。その下にはぽっかりと空洞が開いている。
「……これは、秘密通路でございますか?」
玲燕は真っ暗な暗闇が広がる穴の入り口を見る。
万が一に備えて皇帝が住む場所にはいくつかの秘密通路があることは公然の事実だが、一体どこにあるのかは完全に伏せられている。これは、後宮の中にあるいくつかの秘密通路のひとつなのだろう。
「もしかして、菊花殿に幽鬼が出るという噂は意図的に?」
玲燕は自分の近くに戻ってきた天佑に尋ねる。
「ここで人が死んだというのは事実だ」
「……聞かなければよかった」
「怖いのか?」
天佑はにやりと笑い、意味ありげに玲燕を見返す。
「残念ながら、全く怖くありません。」
「なんだ、つまらんな」
玲燕がしれっと答えると、天佑はすんと鼻を鳴らす。
「…………」