◆ 第三章 皇城
後宮に入りこんで早二週間。
今まで楽な故服ばかり来ていたので襦裙はなかなか着慣れない。胡服を着ようとすると、鈴々に止められてしまうのだ。
「あら、玲燕! どこに行くの?」
後ろから声を掛けられ、玲燕は振り返る。
そこには、色鮮やかな桃色の襦裙に身を包んだ女官がいた。桃色の衣装の襟元には桃の花が刺繍されており、桃林宮(とうりんきゅう)に勤めていることを表していた。
この人は桃林宮に住む桃妃(とうひ)付きの女官、翠蘭(すいらん)だ。
「内侍省に用事があって、参るところです」
「そうなんだ。ねえ、ちょうど珍しいおやつがあるから、玲燕にもひとつあげるわ」
後宮に入りこんで早二週間。
今まで楽な故服ばかり来ていたので襦裙はなかなか着慣れない。胡服を着ようとすると、鈴々に止められてしまうのだ。
「あら、玲燕! どこに行くの?」
後ろから声を掛けられ、玲燕は振り返る。
そこには、色鮮やかな桃色の襦裙に身を包んだ女官がいた。桃色の衣装の襟元には桃の花が刺繍されており、桃林宮(とうりんきゅう)に勤めていることを表していた。
この人は桃林宮に住む桃妃(とうひ)付きの女官、翠蘭(すいらん)だ。
「内侍省に用事があって、参るところです」
「そうなんだ。ねえ、ちょうど珍しいおやつがあるから、玲燕にもひとつあげるわ」