「先日天佑様にいただいた資料を見返していて気付いたのですが、過去に一度だけ宮城の内部で鬼火騒ぎが起きていますね」
「ああ、その通りだ」
天佑は頷く。
目撃されたのは鬼火騒ぎが起きたまだ初期の頃のたった一度だけだ。そして場所はここ菊花殿。天佑はそういうことも含めて、玲燕の滞在先にこの菊花殿を選んだのだろう。
この事実は、ひとつの重要な意味を持つ。
犯人は後宮に入れる立場にあるということだ。だからそこ天祐は、玲燕を後宮に潜入させた。
「妃の関係者でないとなると、宦官かしら?」
玲燕は顎に手を当て、独り言つ。
「その可能性も考えて、調べている」
「お願いします。あとひとつ、お願いがあります」
「お願い? なんだ?」
「鬼火は皇城内でも目撃情報があります。その現場が見てみたいです」
「後宮から出たいということか?」
天佑は片眉を上げる。
(やっぱり無理かしら?)
妃が後宮から出るのは、宴席への参加を特別に許された場合や保養地に向かう場合など、ごく限られている。
だめ元で言ってみたもののやはり無理だったかと思ったそのとき、「わかった。なんとかしよう」と声がした。
「ああ、その通りだ」
天佑は頷く。
目撃されたのは鬼火騒ぎが起きたまだ初期の頃のたった一度だけだ。そして場所はここ菊花殿。天佑はそういうことも含めて、玲燕の滞在先にこの菊花殿を選んだのだろう。
この事実は、ひとつの重要な意味を持つ。
犯人は後宮に入れる立場にあるということだ。だからそこ天祐は、玲燕を後宮に潜入させた。
「妃の関係者でないとなると、宦官かしら?」
玲燕は顎に手を当て、独り言つ。
「その可能性も考えて、調べている」
「お願いします。あとひとつ、お願いがあります」
「お願い? なんだ?」
「鬼火は皇城内でも目撃情報があります。その現場が見てみたいです」
「後宮から出たいということか?」
天佑は片眉を上げる。
(やっぱり無理かしら?)
妃が後宮から出るのは、宴席への参加を特別に許された場合や保養地に向かう場合など、ごく限られている。
だめ元で言ってみたもののやはり無理だったかと思ったそのとき、「わかった。なんとかしよう」と声がした。