後宮は皇帝の寵を得るための、女の戦いの場所だ。よその妃に敵対心を持っておりそういう態度を取ってしまう妃がいても不思議はないのだが、まだ幼い蓮妃にはそれがわからないのかもしれない。

「皇帝陛下は蓮妃様のことも寝所にお召しに?」
「ええ、もちろん。一、二週間に一度くらいかな。陛下のところに伺った日は、寝るまで一緒に囲碁をするの」
「それは楽しそうですね」

 玲燕は口元に笑みを浮かべる。

 まさかこの幼い妃に無体なことをしているのかと思ったが、それは杞憂のようだ。話を聞いていて、蓮妃にとっての潤王は『夫』というより『兄』といったほうが感覚的に近いのかもしれないと思った。

「他のお妃様も同じ頻度で?」
「そう思うわ」

 頷いてから、蓮妃はハッとしたような顔をする。

「菊妃様もすぐにお召しがあるはずだから、心配しなくて大丈夫よ」

 玲燕がまだ召し上げられていないことを不安に思っているとでも思ったのか、蓮妃は必死に励まそうとしてきた。

「ありがとうございます」