双子だと言われれば、そうだと思ってしまうかもしれない。しかし、勝手にこんなことをしでかしたら大問題になるはずだ。

「まあ、そうだな」

 天佑はなんでもないように頷く。

(どんだけ型破りな皇帝と臣下なのよ!)

 平民の玲燕を偽りの妃として後宮に入れるわ、男の臣下に宦官のふりをさせて後宮に送り込むわ、やることが突拍子なさ過ぎる。玲燕は頭痛がしてくるのを感じた。

「甘様も玲燕様も、お茶でも飲んでくださいませ」

 タイミングを見計らったように、鈴々がお茶を淹れる。
 香ばしい香りが周囲に漂った。

「わあ、いい匂い」

 玲燕が歓声を上げると、鈴々が「甘様からの差し入れですよ」と教える。

「茶の産地、宇利から取り寄せた。気に入ったなら、また取り寄せよう」
「ええ、是非。でも、茶葉では誤魔化されませんからね!」

 玲燕はじとっと目の前の人──玲燕をここに送り込んだ張本人である天佑を睨み付ける。

「そう睨むな。だれか妃と交流したのか?」
「先ほど、廊下で蓮妃様とお話ししました」
「蓮妃と?」
「算木を廊下に落としてしまったので探している最中に遭遇したのです」