鈴々から「内侍省の方がお見えになりました」と聞き、玲燕は首を傾げる。
「後宮内で過ごす心構えでも話してくれるのかしら?」
内侍省とは、後宮のことを取り仕切る宦官達が所属する組織だ。
用件が思い当たらないが、尋ねてきた宦官を追い返すわけにもいかない。玲燕はその宦官が待つ部屋へと向かった。
「甘栄佑にございます」
かしこまって挨拶するその人を見たとき、玲燕は目が点になった。
「天佑様、何やってるんですか?」
きっちりと宦官の袍服を着て、いつも下ろしている髪の毛は幞頭(ぼくとう)にしまわれているものの、それはどこからどう見ても天佑にしか見えない。
「なんだ。気づかれたか」
天佑は玲燕を見て、口の端を上げる。
「当たり前じゃないですか。どっからどう見ても同一人物です」
「行動する場所と格好が違うから、意外と気づかれないのだがな」
「残念ながら、一瞬でわかりました」
玲燕は真顔で答える。
「今は甘天佑の双子の弟──栄佑ということになっている」
「なるほど、双子ですか。これも、皇帝陛下の命で?」
「後宮内で過ごす心構えでも話してくれるのかしら?」
内侍省とは、後宮のことを取り仕切る宦官達が所属する組織だ。
用件が思い当たらないが、尋ねてきた宦官を追い返すわけにもいかない。玲燕はその宦官が待つ部屋へと向かった。
「甘栄佑にございます」
かしこまって挨拶するその人を見たとき、玲燕は目が点になった。
「天佑様、何やってるんですか?」
きっちりと宦官の袍服を着て、いつも下ろしている髪の毛は幞頭(ぼくとう)にしまわれているものの、それはどこからどう見ても天佑にしか見えない。
「なんだ。気づかれたか」
天佑は玲燕を見て、口の端を上げる。
「当たり前じゃないですか。どっからどう見ても同一人物です」
「行動する場所と格好が違うから、意外と気づかれないのだがな」
「残念ながら、一瞬でわかりました」
玲燕は真顔で答える。
「今は甘天佑の双子の弟──栄佑ということになっている」
「なるほど、双子ですか。これも、皇帝陛下の命で?」