算木とは、複雑な計算を行う際に用いる計算道具の一種だ。四角柱の形をした木には一から九までを示す図形が描かれており、これを横一列に置くことで数字を表現する。
錬金術師には必携の道具で、これは玲燕が幼い頃から使っている品だった。
「鈴々はよくこれが算木だって知っていたわね? 一般の人はあまり使わないのに」
「天佑様が執務の際に時々使っていましたので」
「天佑様が? そうなの」
玲燕は聞き返す。
「はい。色々と計算することも多いのですよ」
「ふうん」
玲燕は相づちを打ちながら、算木を見つめる。
天佑が手配してくれて玲燕付きの女官となった鈴々は、元々天佑の元で働いていたそうだ。きっと今まで、天佑の仕事する姿を色々と見てきたのだろう。
玲燕は気を取り直し、ぐちゃくちゃになった算木を数字の順に綺麗に並べてゆく。
「あら? 『二』と『七』がないですね」
鈴々が声を上げる。鈴々が言うとおり、二と七の場所だけが、ぽっかりと空間になっていた。
鈴々は床に落ちていないかと、周囲を見回す。
「どこへ行ってしまったのでしょう」
錬金術師には必携の道具で、これは玲燕が幼い頃から使っている品だった。
「鈴々はよくこれが算木だって知っていたわね? 一般の人はあまり使わないのに」
「天佑様が執務の際に時々使っていましたので」
「天佑様が? そうなの」
玲燕は聞き返す。
「はい。色々と計算することも多いのですよ」
「ふうん」
玲燕は相づちを打ちながら、算木を見つめる。
天佑が手配してくれて玲燕付きの女官となった鈴々は、元々天佑の元で働いていたそうだ。きっと今まで、天佑の仕事する姿を色々と見てきたのだろう。
玲燕は気を取り直し、ぐちゃくちゃになった算木を数字の順に綺麗に並べてゆく。
「あら? 『二』と『七』がないですね」
鈴々が声を上げる。鈴々が言うとおり、二と七の場所だけが、ぽっかりと空間になっていた。
鈴々は床に落ちていないかと、周囲を見回す。
「どこへ行ってしまったのでしょう」