婆やが不思議そうに、こちらを見つめていた。
「凧を作っているの」
「凧ですか」
婆やは興味深げに玲燕の手元をのぞき込む。
凧は、糸で結んだ薄い膜を風による揚力を利用して空を飛ばすものだ。形状や糸を結ぶ位置、素材によって飛んでいる時間や高さが変わり、玲燕が昔から凧揚げが好きだった。
「見ていて」
玲燕はそう言うと、中庭に降り立つ。
ちょうどよい風が吹いたので凧から手を離すと、それは空高く舞い上がった。
「おやまあ。ただの布が空を飛ぶなんて、面白いですねえ」
婆やは空を見上げ、屈託ない笑顔を浮かべる。
光麗国では、凧は軍事用に用いられることが多い。婆やはあまり見たことがなかったのだろう。
そのとき、背後からかさりと地面の石を踏む音がした。
「凧か。自分で作ったのか?」
聞き覚えのある穏やかな声に、玲燕はハッとする。振り返ると、そこには五日ぶりに会う天佑がいた。
「そう。暇だったから」
「へえ、見事だな。……放ったらかしにしてしまい悪かったね」
天佑は玲燕を見つめ、穏やかな笑みを浮かべる。
「別に構わないわ。だって、仕事でしょう?」
「そうだね」
「凧を作っているの」
「凧ですか」
婆やは興味深げに玲燕の手元をのぞき込む。
凧は、糸で結んだ薄い膜を風による揚力を利用して空を飛ばすものだ。形状や糸を結ぶ位置、素材によって飛んでいる時間や高さが変わり、玲燕が昔から凧揚げが好きだった。
「見ていて」
玲燕はそう言うと、中庭に降り立つ。
ちょうどよい風が吹いたので凧から手を離すと、それは空高く舞い上がった。
「おやまあ。ただの布が空を飛ぶなんて、面白いですねえ」
婆やは空を見上げ、屈託ない笑顔を浮かべる。
光麗国では、凧は軍事用に用いられることが多い。婆やはあまり見たことがなかったのだろう。
そのとき、背後からかさりと地面の石を踏む音がした。
「凧か。自分で作ったのか?」
聞き覚えのある穏やかな声に、玲燕はハッとする。振り返ると、そこには五日ぶりに会う天佑がいた。
「そう。暇だったから」
「へえ、見事だな。……放ったらかしにしてしまい悪かったね」
天佑は玲燕を見つめ、穏やかな笑みを浮かべる。
「別に構わないわ。だって、仕事でしょう?」
「そうだね」