玲燕はびしゃりと言い切る。天佑は玲燕を見返し、ふっと口の端を上げる。

「なかなか言うね」
「当たり前のことを言ったまでです。問題を解決しろと言いながらその謎を解決するための材料を与えられないのでは、話になりません」

 物事の真理に至るには、できるだけ正確かつ多くの情報が必要だ。天嶮学は占いではない。事実に基づき、物事の真理を明らかにするのだ。

「それもそうだな」

 天佑はふむと頷いて、玲燕をじっと見つめる。

「……なんですか?」

 品定めをするような天佑の視線に、玲燕は居心地の悪さを感じた。

「いや、なんでもない。明日、仕事に行ったら連れて行けるように手配しておこう」
「ええ、お願いします」

頷きながらもなんとなく嫌な予感がする。
 そして、その予感は見事に的中したのだった。


   ◇ ◇ ◇


 玲燕が鬼火の謎について明らかにしてから暫くの間、天佑は屋敷を不在にした。元々忙しくてあまり帰らないと聞いていたので、きっとこれが彼の通常の過ごし方なのだろう。

「学士様、何をされているのですか?」

 中庭に面する回廊で作業していた玲燕は顔を上げる。